探偵の目線から子どもの「いじめ」の実態に迫るメルマガ『伝説の探偵』。今回は、筆者であるT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚さんが、「夏休み中のいじめ」の言及。実際に依頼を受けた中1男子と小4女児の事例を挙げ、親も被害児童も気を緩めてしまいがちな夏休み中の校外での「いじめの実態」と、親がチェックすべき「3つのポイント」を紹介しています。
「夏休みはいじめの小休止」というのは大きな間違い
7月23日、ほとんどの小中学校、高校、大学は夏休みの期間に入っていることだろう。
いじめの専門家として全国から相談を受け、走り回っていると、教育関係者がよく言っていた「夏休みはいじめの小休止」というのは大きな間違いというのがわかってくる。
関東圏内の公立中学校に通っていたA君は、中学1年生の入学当初から突然いじめの対象になってしまっていた。
被害をひたすらに隠し、夏休みを迎え、彼はほっと一息つけるかと思っていた。
しかし、LINEからの指令や突然の訪問に彼はより酷い被害に遭うことになってしまった。
私のところへの相談は母親からの電話であった。
先にA君の家族構成を説明すると、母(40代)姉(高1)A君(中1)という3人家族である。
母からの相談の中身は、「財布からお金がなくなる。」高1の姉の下着がイタズラされているような感じだということであった。
夏休み中で、日中家にいるのは弟のA君のみだが、友人らが遊びにきているようであり、何か起きているのではないかというものであった。
一旦姉がA君に、下着をいじってないか?と詰問し、A君自体が部屋から出てこなくなってしまったという。
ほぼこの状態から、A君が姉の下着を悪戯したもしくは関わったということはその行動から自白したとみていい。
しかし、友人が遊びに来ているということから、いじめの被害の流れで、傍若無人な行動を加害者が取っている可能性は、十分考えられた。
実際他案件でも、被害者の家族の下着が悪戯されたり、性的な被害にあった、遭いそうになったという事例は多いのである。
日々の生活の困窮は話し合いの時間や余裕を許さないというケースも多い。家族構成からもわかるように、被害家族は、一人親世帯であり、最も学費などがかさむ時期の子が2人もいる。
まっとうな職に就き、学費までも捻出するとなれば、相当な時間を労働に割かなければならないだろう。
また、思春期真っ只中の少年が、話し合いですべてを話すということも考えづらいものがある。
被害が浅かったりすれば、話すこと自体に大きなストレスはないかもしれないが、窃盗や下着関係となれば、シモのシモであるから、通常の自白を取るのも一定の証拠などがなければ、A君は話をせず、閉じてしまうだろう。