2紙合わせると沖縄県世帯のほぼ100%近いシェアを誇るという「沖縄タイムス」と「琉球新報」ですが、無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』の著者・伊勢雅臣さんは、「両紙とも中国のプロパガンダ機関かと思うような偏向報道が多く、沖縄県民は尖閣海域の危険性などの情報を正しく得られていない」との懸念を示しています。その実態、どのようなものなのでしょうか。
仲裁裁判所の南シナ海裁定は「紙くず」と言う中国外務省
中国が軍事要塞化を進めつつある南シナ海で、フィリピンが起こしたオランダ・ハーグでの仲裁裁判所の判決が下った。中国が主張する南シナ海の「歴史的権利」は根底から否定された。
中国外務省の幹部は「判断は、紙くずであり無効だ」と粗暴な反発を示し、仲裁裁定でフィリピン漁民らの伝統的漁業権が認められたスカボロー礁に接近した同国漁船を、中国海警局とみられる監視船が妨害した。
東シナ海でも同様に、尖閣諸島周辺海域に武装した中国海警局の船が21日連続で侵入するなど、領海侵犯が常態化している。
尖閣諸島が属する八重山市の地元紙「八重山日報」編集長の仲新城(なかしんじょう)誠氏の新著『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』で、尖閣海域で中国の公船に追われた経験が紹介されているので、その実態を見てみよう。
1,000トン級の中国公船3隻に包囲された漁船
平成25(2013)年5月12日夜、仲新城氏や石垣市議会議員・仲間均氏を乗せた6人乗りの漁船「高洲丸」が石垣島を出発した。出発前に海上保安庁の職員が「島には上陸しないでください」「中国公船には接近しないでください」と注意した。
石垣島から一晩かけて、約170キロ北の尖閣海域に入る。13日早朝から釣りを始めると1メートル級のハマダイやカンパチが次々と水揚げされて、漁業資源の豊かさが実感できた。
午前9時半頃、遠巻きに見守っていた海上保安庁の巡視船から、ゴムボートが近寄ってきて「中国公船が魚釣島の北西から南下しています。挑発しないでください」と伝えた。
午後1時頃、中国の海洋監視船3隻が次々と視界に入ってきた。それぞれ1,000トン級の艦艇で、近くを航行するだけで、わずか6人乗りの高洲丸は転覆してしまいそうだ。
気がつくと、南小島を背にした高洲丸の前と左右に中国監視船が取り巻いている。このまま距離を詰められると逃げられない。しかし、周囲には海保の巡視船9隻がひしめいており、中国公船が高洲丸に近づこうとするたびに、巡視船が猛スピードで間に入る。3対9では勝ち目がないと判断したのか、中国公船はそれ以上、近づこうとはせず、睨み合いとなった。
しかし海保の巡視船がいなければ、どうだったか。
高洲丸は包囲されて動けなくなり、恐らく中国公船から乗組員が「臨検」のため乗り込んできたことだろう。そのまま拿捕(だほ)され、…高洲丸乗員は中国本土に連行されていたかもしれない。
尖閣海域で日本漁船が拿捕されれば、中国としては尖閣の領有権を世界にアピールする絶好の機会になる。この時、日本の実効支配は、まさに試されていたのだ。
(『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』)