7月13日、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたという速報が、NHKの独占スクープとして報道され、のちに新聞テレビなど各社から一斉に報道されました。このニュースは国内だけでなく、世界各国でも速報で大きく報じられています。一夜明け、主要新聞4紙はそれぞれこのニュースをどのように伝えたのでしょうか。ジャーナリストの内田誠さんが、自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ』で詳細に比較、分析しています。
天皇陛下が生前退位の意向。各紙はどう伝えたか
◆1面トップの見出しから……。
《朝日》…「天皇陛下 生前退位の意向」
《読売》…「天皇陛下 生前退位の意向」
《毎日》…「天皇陛下「生前退位」意向」
《東京》…「天皇陛下 生前退位の意向」
◆解説面の見出しから……。
《朝日》…「陛下82歳 公務も変化」
《読売》…「ご公務 強い責任感」
《毎日》…「陛下 高齢の影響懸念」
《東京》…「象徴天皇の将来 見据え」
ハドル
凄いですね、天皇陛下が完全制覇です。情報が少ない世界のことでもありますし、各紙、「天皇陛下の意を忖度する」ことには慎重にならざるを得ません。違いがどれだけ出るか不安ですが、なんとか頑張ってみましょう。
基本的な報道内容
天皇陛下が、皇太子に皇位を譲る生前退位の意向を示していることが、政府関係者への取材で分かった。少なくとも1年前から、こうした意向を周囲に示していたという。背景には、天皇として行うべき公務が、高齢化という要因で制限されてしまうことへの考慮もあったとみられる。
皇室典範には生前退位の定めがなく、法改正が必要となる。有識者会議などで議論を進め、結論を得るまでには数年が必要とみられる。
憲法に則った継承のあり方
【朝日】は1面に、「継承のあり方 自ら一石」と題する「解説」を置いています。担当は、北野隆一編集委員。
天皇陛下は2012年2月の心臓冠動脈パイパス手術以降、皇太子、秋篠宮と月一回語らう場に臨んできたという。内容は明らかにされていないとのことだが、「天皇陛下の務めや現行憲法の象徴天皇制の意義、宮中祭祀などについて、お二人に引き継いでいく趣旨だとみられる」と。
宮内庁も恒例行事での「おことば」を原則廃止するなど負担軽減を進めてきたが、天皇陛下ご自身は象徴天皇としての務めを果たすことに強い気持ちを示してきたという。その務めを十分に果たせないのであれば、摂政を置くのではなく、自身が退位した方が良いとの考えに達したのではないかという。
uttiiの眼
もちろん、想像の域を出ないのだが、息子たちに「帝王学」を施している姿、公務負担の軽減について「しばらくはこのままでいきたいと考えています」との発言、こうしたことを勘案すれば、天皇陛下は、象徴として求められる公務を減らしたり、譲ったりすることはできないと考え、ならば、皇位そのものを譲るべきだと考えたのだろう。
やはり天皇陛下は即位の時の、「憲法を国民とともに守っていきたい」という言葉に厳格に忠実な生き方をしようとしておられるのだと思う。それ以上の表現が見つからない。