こういった事態を避けるひとつの方法として、デザインの話はいったん横において、それ以外の良いところを押すという方法もあります。例えば「でも、今なら値段を安くできます」「使っている宝石の品質が良く、保証書も付いています」。この場合、相手の価値観とは衝突しないものの、相手が最も気にしているマイナスポイントはそのまま放置されます。アピールによって「それなら買おうかしら」とはなりにくいでしょう。
ポジティブ反論法は、相手がマイナスに見たポイントをプラスに転換するものです。相手の意見をひとまず認め「だからこそ、よいのです」という形で展開するのが基本です。
たとえば「デザインが派手だ」と言われたのなら「だからこそよいのです。きらびやかな宝石を身に着けることで、見た目が若くなりますよ」「若々しさは、外面と内面両方から出てくるものですが、若々しいものを身に着けるからこそ、内面から若くなるのです。これは、心理学の法則です」と話を展開します。
ここでは、デザインに関する相手の見方、価値観は否定せず、同じ要素についてポジティブに転換しています。この方法なら、相手の意見を尊重しつつ反論をすることができるでしょう。
人気のラーメン屋に奥さんや彼女を誘ったら、「30分も待つのは嫌だ!」と言われたとします。
「今回は、待つからこそいいんだよ。30分間、何もすることがないから、全然決めてなかった夏休みの予定をそこで決めちゃおうよ。ちょうどいいじゃん。楽しい予定が決まったところで、おいしいラーメンが来る。最高だよ!」
最後に、ポジティブ反論法を成功させるコツをもうひとつ。それは、ノーを言われることを前提に、相手の典型的な断り言葉を想定しておくこと。そして、断りの言葉をポジティブに転換する想定問答をたくさん用意して交渉に臨むことです。想定通りの理由でノーを言われたら、「よし、うまくいった」と思えるくらいの準備で臨むとよいでしょう。
「YESかNOで、答えろ!」(ゴルゴのlineスタンプ)
今回は、ここまでです。
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