世界では、日本の「嘘はダメ。正直者であれ」という考えよりも、「嘘をうまく使うことは当然である」という思考をする人々の方が圧倒的多数のようです。しかし、その「事実」に気付かず海外で失敗する日本人は後を絶ちません。無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では、日本人が知っておくべき国際社会における「嘘」と「騙し」を客観的に分析した1冊を紹介しています。
なぜリーダーはウソをつくのか
『なぜリーダーはウソをつくのか』
ジョン・J.ミアシャイマー・著/奥山真司・訳 五月書房
この『なぜリーダーはウソをつくのか』のエッセンスを一言でいえば、
「国家のリーダー同士は互いにそれほどウソをつかないが、国民に向けてはウソを頻繁に使う」
という意外な結論にある。まさかこのような結論に至るとは、原著者であるミアシャイマー教授自身も「最初は信じられなかった」と書いているが、たしかに歴史を紐解いてみると、国家間のやりとりにおいて明らかな「ウソ」が使われた事例はあまり認められない、という説明には説得力がある。
つまり本書の意義は、原著者であるミアシャイマー教授の意図する通り、「摩訶不思議で厳しい国際政治の新しい面を知る」ということにある。
そして、本書の優れている点はそれだけではない。この本には、これまでに私が訳してきた幾つかの書籍と同様に、私たち個人にとって非常に多くの「発想のヒント」や興味深い示唆を与えてくれるのである。