熊本地震の混乱が未だ冷めやらぬ6月16日、北海道の函館近海で震度6弱の大きな地震が発生しました。まさに地震大国日本に住む我々にとって「地震予測」は必要不可欠なものです。しかし、メルマガ『辛坊治郎メールマガジン』では、日本政府が発表した「全国地震動予測地図」を「デタラメなデータ」と一刀両断。その背後にある利権構造を指摘し、予測図を一面に掲載した読売、産経の2紙を痛烈に批判しています。
地震調査委員会が発表した「予測」という名のデタラメなデータ
新聞を広げた瞬間、怒りがふつふつとこみ上げてきました。いつもは、朝日新聞や毎日新聞で起きる心理現象なんですが、今回の原因は読売と産経でした。
6月11日の両紙の一面の見出しはそれぞれ、「南海トラフ沿い確率上昇 高知73% 和歌山57%」「30年内に震度6弱以上 南海トラフ沿い確率上昇」だったんです。朝日は同じ内容の記事を一面の左側に三段見出しで伝えました。読売、産経の四段見出しに対して少し小さめです。
近年、ニュースのバリュー判断が東京新聞(極端な左派系新聞)チックになっている毎日新聞は、「とりあえず載せましたよ」という扱いの第三社会面での掲載でした。いつも判断を誤る毎日新聞ですが、今回の思い切った記事の扱いに、私は惜しみない賛辞を贈ります。
だってそうでしょう、政府の地震調査委員会の「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した全国地震動予測地図」の2016年版なんて、オカルト以上のなんの価値も無いどころか、日本国民の地震に対する備えを誤らせ、地震保険の掛け金を誤誘導し、人命を奪う「悪魔のデータ」ですからね。
今回発表されたのは、2016年1月1日を基準日にした「予測」という名のデタラメなデータです。なんとこの予測地図によと、今年4月に震度7の地震が二回も起きた熊本県益城町の発生確率はわずかに8%です。熊本市の発生確率は7.6%で、実は前回公表された2014年版よりも0.2%発生確率が減ってるんです。何を根拠に熊本の地震発生確率が過去2年で下がったのか、下がったのに何故大地震が起きたのか、全く訳が分かりません。
この「オカルトデータ」は2005年に発表、その後不定期に更新され続けているんですが、このデータ発表以降、大災害をもたらした地震発生地域を見ると、新潟中越沖、東北、熊本など、データ上明らかに東海から四国の太平洋側に比べて発生確率が低い場所ばかりです。
これらの地域は、この「オカルトデータ」に基づいて、地震保険の保険料が低く設定されていたり、熊本などは「大地震の発生リスクの低い地域」を前面に打ち出して企業誘致をしていたのは皆さんご承知の通りです。
また、今回発表されたデータでは、千葉85%、静岡68%、大阪55%などと、太平洋岸を中心に軒並み50%以上の確率になっている一方、なぜか京都は13%、さらに鳥取5.2%、長崎2.6%、札幌0.92%等となっています。このデータを見たら札幌に住む皆さんは「北海道は大丈夫だな」と思い込んでも仕方ないですよね。
当然耐震診断や耐震補強のモチベーションは生まれず、古い耐震基準の建物が放置される中、明日にも「0.92%」が札幌を襲って大勢の人が犠牲になるかも知れないんです。これは正に、熊本で起きた悲劇そのものです。