働く者にとってお給料は1円でも多くもらえた方が良いのは当然ですが、果たしてお金で従業員の「心」を買うことはできるのでしょうか? 無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、牛たんの人気店「ねぎし」の社長のエピソードを紹介しつつ、「経営者としての考え方」について論じています。
その時、経営者はどう考えるか
お金で「やる気」は買えるかと言えば、恐らく90%の割合で「そうだ」と返事が返ってきそうです。そんな中で、少し苦い顔して肯定しない経営者がいるはずです。私の勝手な予想ではそんな経営者が経営している企業は、おそらく少しの波はあるもののいたって良好な業績を続けていることでしょう。
ある中国通の専門家に話をする機会がありました。中国の従業員にきっちり仕事をしてもらうにはどうしたらよいか聞きました。「中国の人は、処遇と仕事を明確に規定して約束をまもればきっちりと働いてくれる」ということです。しかし、隣接企業での報酬が1元でもよければそちらに移って行くそうです。
「中国人なら、そんなところがある。」と納得される経営者が多くおられると思います。特に早くから進取の気持ちで低賃金が魅力で生産基地をつくられた経営者の方は、「生な」かたちで実体験されなおさらでしょう。しかし、そんな中でもうまく事業継続している会社もあるのですが。
先の話に戻しますが、事業を行う上で経営者は、多くの失敗と経験を重ねながら経営の核心をつかんでゆかれます。ヤリ手の創業者が最初によく躓くのは、給料さえ払っておけば人は働くだろうと考えて人格を軽視しておこる思わぬ破綻です。ある日気が付けば、誰もいなくなっていたということも起こります。
そんな時に経営者は、2通りの考えを持つことでしょう。1つは「給料をきっちり払っていたのに何で裏切られなければならないんや」と思う経営者と、もう1つは「何が悪かったのか、どうすれば一生懸命に働いてくれるのか」と。ここで2番目の「何故かを考えて、答えを見つける経営者」が勝ち組になります。
一番最初の「お金でやる気は買えるか」の問いに、黙って苦笑いした人こそが「やる気のマネジメント」の「コツ」に出合った人です。やる気と行動力があり身を粉にして寝る間を惜しんで働く人は、どんな事業に進出してもある程度成功を手に入れられることでしょう。しかし、従業員を雇用し規模が大きくなると少し事情が違ってきます。