日本でも人口の3%を占めると言われている注意欠陥・多動性障害、通称ADHD。近年、日本では子どもの発達障害としての認知度はある程度あるものの、大人のADHDについては、まだそれほど広く知られていません。そんな中、ADHDの人はワーカホリックになりやすいという研究結果が、今月、ノルウェーで発表されました。
日本の人口の3%を占めるといわれるADHDとは?
みなさんはADHDという言葉を聞いた事はありますか?
ADHDは日本語で「注意欠如・多動性障害」と呼ばれ、不注意(集中力がない・気が散りやすい)、多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)、衝動性(順番を待てない・考える前に実行してしまう)などの3つの要素がみられる発達障害とされています。
このような行動から、従来、子ども特有の症状とされ、大人になるとともに改善されていくものと考えられてきました。
しかし、近年、「大人のADHD」に関しても、徐々に認知度が高まりつつあります。
大人のADHDの割合は人口の約2.5%。
子どもの時からADHDの症状を持ち続ける人が半数以上いるとされています。
大人の場合は、複数の仕事をこなす事ができない、〆切を守れないなどの行動から、責任感が足りない、仕事ができない人、など、まわりの人から悪印象を受けてしまうケースもあり、ある意味、子どもよりも厳しい状況に身を置いている人が少なからずいます。
ADHDであると自認していない場合は、自分の能力が低いと考え、鬱病などを併発してしまうことも。
ADHDにはワーカホリックとの深い関係性があった?
Live Science誌は今月2日、「ADHDの人は、ワーカホリックである割合が通常の人に比べて高い」という研究結果について掲載しました。
ワーカホリックとは、家庭や健康などの私生活を犠牲にしてまで、仕事に打ち込む「仕事中毒」のこと。
今回、ノルウェーのベルゲン大学で行われた研究では、16,426人の大人を対象に調査を実施。
すると、ワーカホリックである人の33%にADHDの症状があり、対して、ワーカホリックでない人の中ではADHDの割合が13%に留まったとのこと。
研究者は、ADHDであるがゆえに、仕事が効率よくこなせず、結果的に長く働くことになってしまう、または、ADHDの症状のひとつである衝動性により、プロジェクトやタスクを余計に請け負ってしまうなど、何かしらの関連性があるものと見ています。
現在はADHDに対する投薬治療なども行われていますが、はっきりとした原因もまだわかっておらず、研究がすすめられている段階です。
ADHDの人はアイディアに優れ、行動力があり、好きな事だと類い稀な集中力を見せるとも言われています。
実際に、起業家、ハリウッドスター、日本の芸能人の中にも、自身がADHDであると打ち明けている人たちがいます。
けれども、能力を発揮するためには、自分がADHDとうまく付き合う方法を学び、まわりの人たちによる認知と理解が必要です。
もし、まだご存知でなかった方は、ぜひ頭の片隅にADHDについての知識を置いて生活してみてくださいね。
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source by Live Science/ ADHD.co.jp
文/長塚香織