商品の売上げを大きく左右する「価格設定」。値上げはもちろんのこと、値下げで顧客の足が遠のいてしまうこともあるといいます。一体なぜ? 無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』で著者の佐藤昌司さんが、安易な「価格政策」で顧客の反感を買ってしまった結果、業績が悪化した企業に共通する「問題点」を徹底的に分析しています。
大塚家具、ユニクロ、ディズニー、クリスピーが犯した失敗の共通点
このところ、「価格政策の失敗」で業績を悪化させている企業が散見されます。有名どころで言えば、大塚家具やユニクロ、東京ディズニーリゾート、クリスピー・クリーム・ドーナツなどが挙げられます。
大塚家具は、2016年2月期決算で赤字に転落する見通しを発表しました。同社は15年2月に中期経営計画を発表し、高価格帯での販売から中価格帯での販売に移行することを表明しました。それに伴ってか、大幅な値下げとなるセールを乱発させていきました。中価格帯への移行とセールの乱発により、ブランドイメージが毀損し客足が遠のいたことで業績が悪化したと私は考えています。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、16年8月期第2四半期(9~2月期)の国内ユニクロ事業の営業利益が前年同期比28.3%減と発表しました。減収減益です。14年に秋冬商品を平均5%値上げし、15年の秋冬商品も平均10%値上げしました。2度に渡る値上げに対し、消費者は「割高になった」と判断し、客数が大幅に落ち込むようになりました。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、16年3月期のテーマーパーク事業(東京ディズニーランド、東京ディズニーシーなど)の営業利益が2.9%減と発表しました。減収減益です。入園者数は3.8%減となりました。15年4月にチケット価格を値上げした影響が大きく影響しています。ちなみに、今年4月にもさらなる値上げを実施しています。
クリスピー・クリーム・ドーナツは、15年11月時点で全国に64店舗を展開していましたが、16年3月31日時点では49店舗までに激減しています。業績の悪化により閉店を余儀なくされていると私は考えています。商品の価格が競合よりも割高で、たとえば、ミスタードーナツと比べて40~50%程度価格が高く「割高」な印象です。そのために消費者から敬遠されたことが、業績の悪化の大きな原因となっているのではないでしょうか。14年4月からは一部のドーナツとドリンクを10円値上げしています。