小さな子どもが2人以上いるご家庭では、些細な兄弟ゲンカが日々絶えないのではないでしょうか? 下の子がまだ言って聞かせられる年齢ではない場合、どうしても上の子ばかり叱ってしまいがちですが、それでは上の子の不満が溜まるばかり……と、“パパコーチ”ことくろさわさんは、上手な仲裁法を自身のメルマガで紹介しています。
兄ちゃんはつらいよ
今号も、前号に続けて兄弟ゲンカのお話。今日は「下の子が小さくて、言って聞かせることができないとき」についてお届けします。
例えば、お兄ちゃんがブロックで作品を制作中に、0歳や1歳の弟・妹(以下、便宜的に「弟」と書きますね)がやってきて壊してしまう…なんて場面、ありますよね。
他にも、「プラレールで線路を並べている」「ぬいぐるみ総動員でおままごとを展開中」「虫カゴを眺めている」「おやつを食べている」などなど、あらゆる場面でおチビさんは闖入してきます(^_^;)
こんな時に、弟を叱っても意味はありません。
そもそも悪意はないし、言葉で話しても充分には伝わらないし、その年齢では他者の立場を考えられないので、「作品を壊されて、お兄ちゃんは悲しい」という文脈は通じません。
だから、弟を叱るのではなく、兄の方を慰め、諭すことになるわけです。
「壊されて残念だったね。でもね、シュウに悪気はないんだよ。まだ小さくて、壊したらいけないってわからないだけだから」
もしこの場面で、兄が弟を叩くようなことがあると、兄はむしろ叱られる立場にさえなってしまいます。
「シュウに悪気はないって言ってるじゃない。イヤなことされたからって、叩いちゃダメでしょ!」
ですが、こんなふうに接していることで、お兄ちゃんは「いつも自分ばかりが我慢させられる」と思ってしまいます。
そんな体験を重ねる中で、『大事にされていない』『大切に思われていない』と感じさせてしまっていることも、隠れた事実です。そのために自己肯定感を損ねてしまっているのだとしたら、悲しいですよね。
こうした流れ自体は、仕方のないこと(他にやりようがない)と思いがちですが……あるんです。他の方法が。
それは『下の子にも、きっちり言って聞かせる』という方法。
前述の通り、言って聞かせたところで、効果は期待できません。でもそれは、「弟に理解させる」という効果がない、というだけのこと。
その一方で、「兄を満足させる」という効果は、バッチリあるのです。
お兄ちゃんが「自分の思いを親にわかってもらえた」「自分の言い分も尊重されている」と感じられるように、弟を叱る姿を見せてあげるのです。
この時、弟に言って聞かせる話には、注意が必要です。
人格否定はNG
「シュウは本当に悪い子」「お兄ちゃんが困ることばかりするんだから」などの表現は避けましょう。
そのように言われているのを聞くのは、兄にとっても快いものではありません。
また、そのような行動様式『困ったことがあった時には、相手の人格を否定する』を見て学ばせてしまうことにもつながります。
弟の行為を叱るのも△
「お兄ちゃんの作っているものを壊したらダメでしょ!」などと叱るのは、弟の(人格ではなく)行動に焦点が当たっているのは良いのですが、ベストではありません。
思い出してください、これは兄のためにやっていること。
ただ単に叱るだけでは、兄が受ける印象は「ボクが嫌だったということは、わかってもらえたんだなぁ」程度。
もう少し、踏み込んであげたいところです。