かつては冬場にしか売られていなかったコンビニのおでん。しかしセブンイレブンを業界一に育て上げた鈴木敏文氏の「常識を疑う戦術」で、今では夏でもおでんは売られ、9月に一番の売上を記録するほどとなりました。TV番組への出演、監修なども行う店舗経営コンサルタント・佐藤昌司さんが発行する無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、「逆転の発想」がサービスの差別化を図る上でいかに大切かについて解説されています。
9月におでんが売れる理由と逆転の発想法
商品・サービスの差別化を図る手法に「逆転する」という技法があります。経営学者のフィリップ・コトラーが提唱した「ラテラル・マーケティング」における6つの技法のうちの1つです。市場や商品・サービスにおいて、逆転の発想を行うことで新たな価値を生み出すことができます。
「逆転する」という技法を用いるには、世の中の常識を疑う必要があります。当たり前とされていることの中に答えを見つけることができます。
おでんは9月に最も売れる
例えば、「おでん」が分かりやすい事例でしょう。セブンイレブンはおでんを夏に売るという「逆転する」という技法を使って差別化を図ることに成功しました。かつて、おでんは寒い時に食べるものという世の中の常識がありました。今では当たり前となっていますが、かつては夏におでんを食べるという考えは非常識であり、そもそも、そのような考えを思い浮かべた人は殆どいませんでした。
しかし、セブンイレブンの鈴木敏文氏はその世の中の常識を疑い、おでんは暑い夏の日でも売れるのではないかと考えました。
そこで、セブンイレブンは夏におでんを売り始めました。それまでは、気温が低下した冬になってから販売を開始するのが常識だったので、夏に販売するというのは当時では常識破りの考え方だったのです。しかし、意外にも夏でもおでんは飛ぶように売れました。残暑の暑さが色濃く残る9月が最も売れるのです。これは、常識を疑わないと出てこない発想といえます。