10月に発表されたダイソンの加湿器で話題になったのが、加湿する水に含まれるバクテリアをUVランプで99.9%以上除菌するという清潔さ。裏を返せば、水を沸騰させるスチーム式は別として、超音波式や気化式の加湿器の水はよほどお手入れをこまめにするか、除菌の技術を搭載していないと、部屋中にバクテリアをまき散らすことになるという事実が、今さらのようにはっきりしたのでした。
そもそも業界では加湿器の水が危ない…というのは周知の事実。特に超音波式はフィルターも通さず、貯めてある水を超音波で振動させてミストにする方式のため、不衛生になりやすいのです。気化式の場合もフィルターなどのお手入れが必須。ぬめりがついているということはすでにかなり汚れていることなのです。
さて、UVの光が持つ除菌力にダイソンも着目して加湿器を出したわけですが、加湿器以上に怖いのがウォーターサーバーや浄水器の“逆汚染”だということをご存じでしたか?
どんなに高性能なフィルターを使って浄水したとしても、ろ過した後に、注水口から侵入してくる細菌やウイルス、ろ過フィルターに残されたバクテリアによって浄水器の中で雑菌が繁殖してしまうことを、逆汚染”といいます。そのため、「浄水器の中にぬめりが発生する」なんてことも起きてしまうのですね。
水道水は塩素で除菌してあるので安全性が高いのですが、ろ過して塩素を取り除いた水は危ないということ。だから浄水器の注意書きには逆汚染された水を飲まないようにするため、「朝一番に使う時や、しばらく留守にしていた場合は使い始めに約10秒~5分程度の捨て水をしてください」と書いてあるのですね。
もっと怖いのがウォーターサーバー。3年前の東日本大震災後、水の備蓄や安全な水を求める気持ちから一気に拡大した水ビジネスですが、これも浄水器同様に注水口からの逆汚染が問題になっていて、しかもタンクに貯めてあるわけなので、一度汚染されてしまったら、増え続けるしかない状態に。温水が出るタイプのサーバーによる小さな子どもの火傷の事例も多く、解約が相次いでいるといいます。
こんな「水事情」に目をつけ、2013年秋に日本に上陸したのがウォーターロジックの光ハイブリッド浄水器「Edge(エッジ)」。1992年から世界50か国以上で水道直結型の浄水ディスペンサーを展開し、一流ホテルや病院、高級レストラン、学校などのいわゆるBtoB製品を取り赤ってきたウォーターロジック社が、一般家庭向けに開発したのがこの「エッジ」。
UVによる浄水技術を逆汚染対策に用い、JIS規格の13物質に加え、バクテリアを99.9999%除去するという安全性の高さは米国水質協会の認証を世界で初めてダブルで取得しているほど。活性炭フィルターで汚染物質や塩素のニオイなどをろ過した後で、注水口の先端まで光を照射する技術を開発。ボタンを押すたびにブルーの本体内部や注水口が淡いブルーに光る様子に頼もしさを感じます。
この「エッジ」がいいなあと思うのは、コンセントのあるところにコードを差し込めば、すぐに使えるということ。ドイツのデザイナーがデザインしたボディはまるでコーヒーマシンのよう。1.5Lの水タンクに水道水を入れてセットしたら、ボタンを押すだけの手軽さなのです。だからキッチンでもベッドサイドでも、リビングでも持ち運んで使えるんですね。そう、面倒な設置工事のいらない「家電」なのです。
7万5000円(税別)と高いようにも思うけれど、コーヒーメーカーや炊飯器の価格を考えるとそんなこともないかなと。デザインも美しくて水割りや緑茶なども本当に美味しくなる水という点も魅力的です。
だいたい1年に1回フィルターとUVランプを同時交換する必要があって、交換時期になると表示アイコンとアラームで知らせてくれて、決められた回数以上になると動かなくなるという仕組みも素晴らしい。フィルター&UVランプは税込で1万2960円だけれど、だからこそのおいしさと安全性。たぶんね、次は「水のための家電=浄水器」に注目が集まると思いますよ。
(神原サリー)
『旬刊!ブログで言えない家電の話【神原サリーとゆかいな仲間たち】』第5号(2014年11月17日)
著者:神原サリー
家電コンシェルジュの神原サリーとITジャーナリスト一条真人、デジタルライター岡安学の3人でお送りするメルマガです。家電の話題を中心に、雑誌やWebでは書ききれない、書けないようなディープな内容、また逆に些細な話題を取り上げていきます。ご質問、ご要望は随時募集していますので、ドシドシメールしてください。
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