高城剛さんの回答
先日、テレビの電波を停波する可能性を示唆した日本の大臣がおりましたが、本当にテレビ局が恐れているのは、停波ではなく、電波オークションだと思います。
電波オークションは、ほとんどの先進国で導入されている制度で、日本は数少ない例外です。
いつ導入されてもおかしくありませんし、それに意を唱える国民はいないと思います。
いわば、現在は驚くべき安価で仕入れた国民共有財産である電波をテレビ局が独占し、その電波の時間割を寡占しているのが、広告代理店です。
このモデルを作り上げたのは自民党で、僕が言う「テレビが変われば日本は変わる」意味は、結果的に自民党の解党につながるのです。
逆に言えば、自民党が解党するまで、テレビは変わらないものだと思います。
その日まで、日本は疲弊しつづけるでしょう。
予々お話ししますように、日本はソフトな全体主義国家で、事実上いまも資本社会主義国家体制ですので、あえて左派政権になってもうまくいかないしょう。イタリアの例を持ち出すまでもなく、共産党が解党し、一度合同左派政権になってもうまくいかず(ただし、通過点として重要)、非政治家内閣が誕生もしくは保守分裂が、今後10年で起きるでしょう。テレビが変わるのは、その頃です。
ちなみに、ドラマをみればわかりますが、10年前にはハリウッド映画よりテレビネットワーク局のドラマのほうが面白くなり、3年ぐらい前からインターネット配信のドラマが最高に面白くなってきたと思います。
ですので、ご質問にあります「海外でテレビが面白い、若しくは業界が健全で活発な国」は、米国ということになります。
なにしろ、フィンシンルールがありましたからね。フィンシンルールとは、巨大な放送インフラを背景にコンテンツ製作までコントロールしてしまうことを防ぐために、プライムタイムの枠内の一定量は社外で製作することなどを定めた法令で、これにより俄然米国のテレビドラマが面白くなりました。
独占禁止法も機能せず、芸能プロダクションと自民党に上下から挟まれた日本のテレビが面白くないのは、当然です。
日本のインターネットも、このままでは同じようになってしまうと思えるのが、少し残念です。
まだまだ時を必要としますね。
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『高城未来研究所「Future Report」』
著者:高城 剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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