もしかしてあなたはチョコレート・ホリック(依存症)ですか? 虫歯の恐怖におののきながらも、その魔力に取りつかれて口に運ばずにはいられない。そんなあなたには、British Journal of Nutritionに掲載された、チョコレートに関する最新の研究結果は朗報に違いありません。
病気の予防だけでなく、生産性や生活の質の向上面でも効果あり?
英テレグラフによると、チョコレートを毎日食べると2型糖尿病(生活習慣に起因する糖尿病、患者の90%を占める)や、現代人を悩ます生活習慣病の根本的な背景メカニズムの1つであるインスリン抵抗性症候群(これらは心臓血管病の誘発要因としてよく知られているもの)の予防に効果的かもしれないという研究結果が発表されました。
18才〜69才の実験参加者からのデータをもとに研究された報告では、1日100gのチョコレートでインスリン耐性症候群が減少し、肝酵素の分泌が増加したのです。
また、日常的に食べる人は、そうでない人に比べて若々しくて体力もあり、なおかつ学力レベルも高い傾向があるとのことです。
ルクセンブルグ保健省の研究員であるサベリオ・ストレンジス(Saverio Stranges)教授はこう話します。
「体の成長にはココアベースの製品が良く、これらは心血管代謝の健康増進のためにおすすめしたいダイエット方法です。ただし重要なのは、天然物であるココアと加工品としてのチョコレートのようなエネルギーが凝縮された食べ物は別ものであるということです。だから食べ物の対策だけでなく、体を動かすこと、またダイエットや生活様式の工夫などをバランスよく取り入れることで過度に体重が増加しないよう注意しなければなりません」
チョコレートが体に与える影響には、様々な効果がみられます。
血圧
毎日2〜3かけら(100g程度)を食べると、わずかな血圧降下につながる
脳
脳力と記憶力を向上させる
心臓
悪玉コレステロールを若干だが低下させる。別の研究では胃の中のバクテリアがチョコレートを心臓にとって都合のいい消炎化合物に変化させる。
消化作用
チョコレートはカフェインを含んでおり、これは食後4〜5時間で小腸・大腸に達するため、過敏性腸症候群を引き起こすきっかけになりうる。
食欲
チョコレートは脂肪の含有量が高く、満腹感が持続させられる。これは同時にインスリン感受性を増幅するので、脂肪がたまるのではなく吸収されるようになる。ある研究では、チョコレートの匂いをかぐだけでも、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの生成を抑える効果がある。
気分
摂取後1〜2時間で、ココアに含まれる活性化合物が血流を活性化し、セロトニンとエンドルフィンのレベルを上げ気分を高揚させる。この状態はストレスホルモンであるコルチゾールレベルを下げる。
様々な効果があるチョコレートですが、どこの国が1番チョコを消費しているか気になりませんか?
世界チョコレート消費量ランキングを見てみると1位はスイス。
続いて、2位がドイツ、3位アイルランド、4位イギリスがランクイン。
ヨーロッパの国々がトップに並んでいます。
ちなみにスイスのチョコレートといえば、世界各地の空港免税店で必ず見かける三角パッケージのトブラローネが有名ですよね。
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スイス人は1人あたり年間20ポンド(約9キログラム)も食べ、隣のドイツも17.4ポンドを食べるそうです。
10位以内に入った国々はオーストラリアとアメリカを除くとすべてヨーロッパ諸国になります。
そして日本チョコレート・ココア協会によると、日本人は1人あたりの年間消費量が2kgだそうです。
チョコレートの消費量は病気の予防というよりも、より健康的なライフスタイルを実践している人たちや健康状態が良いといった予防学的な観点から、社会人口統計学的な集団を把握するための指標になりえるのではないでしょうか。
チョコレートは、カカオとミルク(乳製品)、砂糖の割合によっていくつかの種類があります。
研究によって効能が注目されているのはココアですから、カカオ分が多く低糖で苦味が多いチョコレートを選ぶとよいでしょう。
これまでは嗜好品としての印象が強かったチョコレートですが、健康のためにチョコレートを食べるという習慣が今後増えるかもしれません。チョコレートに関するさらなる研究成果が期待されます。
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Source by: 英テレグラフ Forbes 日本チョコレート・ココア協会
文/桜井 彩香