「もうわけがわからない」
デモでは物販もしていた。日本共産党の参議院議員・吉良よし子のフォトブックも売っていて、「なぜ吉良よし子氏だけ? もうわけがわからないというか我慢の限界でした」と千葉さんは思った。
カンパもたくさん集まっていました。…特に高齢者の参加者が千円札や五千円札をカンパ袋にどんどん入れてくれるんです。
もちろんカンパした人は善意からなんですが、受け取る方には、そのお金で生活している人がいるっていうことを聞きました。最初は耳を疑ったのですが、デモに入り浸っている人には、確かにきちんとした仕事をしていない人もいて、どうやって食べていくかとなると、カンパをあてにするしかないということらしいです。
コアメンバーには交通費も出ていて、千葉さんは清算用紙も見たことがある、という。共産党の丸抱えの運動だったわけである。
千葉さんが、さらに反原発運動に疑問を持つようなったのは、日章旗を持って反原発運動に駆けつけたグループを、当初から排除したことだった。愛する美しい日本の山河を守りたい、あるいは国防の視点から危険な原発をなくしていきたいという理由などから、日章旗を持って駆けつけた人々だった。
今にして思えば、すでに共産党系の人間が多数入り込んでいた現場で、日章旗は認められるはずもなかったということですが、ただ原発をなくし、福島を取り戻し、日本の故郷を守りたいと考えていた私には、主義主張の違いで人を排除するということが理解できませんでした。
「復興の足かせとなるようなことは、もうやめてほしい」
原発事故が落ち着いてきても、反原発派はこの問題にしがみついていた。たとえば福島原発の地元の井戸川克隆・前双葉町長は、福島にいると鼻血が出ると語って有名になった人物だ。こういう人物をイベントに呼ぶ。
井戸川前町長が登場した、ある漫画では、登場人物が原発構内の見学後に鼻血を出した、というシーンがある。
産経新聞は、原発見学中に受けた放射線量は0.01ミリシーベルトで、東京-ニューヨーク間を飛ぶ際に受ける量の10分の1だった、という記事を載せている。原発を見学しただけで鼻血が出るなら、東京-ニューヨーク便の乗客全員が鼻血を出していなければならない。
こうした反原発派の姿勢を、千葉さんは次のように批判する。
福島県内には農家をやっている友達も大勢います。皆震災の後、農産物が売れなくて収入が激減し、生活がきつかったと言っていました。今は放射線量も落ち着いて、政府も安全だと言っています。
それに納得せず、現在でも危険だと言って福島の人をこれ以上傷つけてほしくありません。いたずらに風評被害を広げ、復興の足かせとなるようなことは、もうやめてほしい、本当にやめてほしいと思います。