昨今の「日本すごい」の風潮、でも調べたら未来のほうがすごくなりそう

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2.公害問題と温暖化で次の日本に

第2次大戦後、多くの工業都市ができるが、そこで問題なったのが公害問題である。戦前にも足尾鉱毒事件があったが、地域農民の反対運動を農民移転という方法で解決して、鉱毒を止めることはしなかった。

このため、鉱毒事件は戦後も続き、神通川のイタイイタイ病や水俣病などになる。

しかし、戦後、四日市のぜんそく問題は、川崎などにも移転して、公害が大きくなり、1960年代後半からは反対運動が全国に起こり、訴訟になっていった。このため、国も対策に乗り出して、1970年に公害関連の法律を整備して、1971年には環境庁も設置する。

喘息の原因は、煤煙に含まれる二酸化硫黄であり、この除去技術ができて、大型のコンビナートで脱硫装置されて、ぜんそくが収まる。公害防止装置の投資を見ると、1970年から1980年までが一番多い。

都市の公害は、自動車の排気ガスが問題であり、いかに少ないガソリンで走るかということになっていった。この最初の回答が、ホンダのCVCCエンジンで1972年に発売される。

次に、1997年にトヨタがモーターとエンジンのハイブリッドで走るプリウスを発売開始した。ホンダもインテグラで続いたが、マツダは、2011年に高圧縮した燃焼させるスカイアクティブエンジンという回答を出してきた。

このように、公害問題をクリアするためと、省エネのために自動車も大きく進歩している。

そして、トヨタが2014年に水素自動車を発売した。これは意味合いがこれまでとは違う。省エネという意味ではなく、水素社会を切り開くモデルとして、新しい世界を想定したことになる。

温暖化防止には、化石燃料を燃やす火力発電所をやめて、再生可能エネルギーで発電する必要があるが、太陽光、風力というどこでも可能な再生可能エネルギーは、不安定という欠点がある。

この欠点を補うのが燃料電池であり、電気から水素を作ることもできるし、水素から電気を作ることもできる。2次電池として使えるのである。しかも、水素という気体になるのでタンクがあれば本体は嵩張らない。2次電池に比べて、非常に軽いし価格が安いので、設置が容易になる。

原子力発電所は、米国の試算では、石炭火力、天然ガス火力よりコストが高く、風力や太陽光よりも随分と高いと出ている。日本の経産省の廃棄コストなどの見積がおかしいと見ている。使用済燃料の問題もあり、将来性に大きな問題が山積している。当面、原子力というのはあるが、新規に軽水炉型原子力発電は、どう見てもおかしい。

ということで、将来は再生可能エネルギー+燃料電池の組み合わせで電気を作り管理していくことになると見る。

現時点、水素自動車を実現させようとしているのは、日本しかない。他の国は自動車に水素は向かないと言っている。ということで、日本が最初に水素社会になるしかないようである。

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