1.和食の歴史
日本の歴史を見ると和食の変化が大きく、この歴史を見ると日本の文化変遷が大きく捕らえることができる。
縄文時代には、日本で土器ができて、それまで食物を焼くことしかできなかったのが、煮ることができるようになる。いろいろな食材を煮ることで、旨みが出ておいしい食事をしていたことがわかってきた。
しかし、中国文化が導入されると、汁物がなくなり、平安時代の大饗料理となり、生物や干物などを切って並べたもので、味付け自体は、自分の手前に置かれた四種器と呼ばれる小さな皿に、塩や酢あるいは醤(ひしお)などを自ら合わせ、これに浸けて食べるだけであった。これでは、縄文人より食事という意味では、劣化した印象である。
そして、鎌倉時代に南宋から来た禅の精進料理が導入されると、動物性タンパクが取れないので、代わりに大豆を利用した。大豆は栄養価が高く、タンパク質を豊富に持つが、生食は困難であるため、風味を向上させ、長期保存し、おいしくする目的も含めて、味噌、醤油、豆乳、湯葉、豆腐、油揚げ、納豆などが生み出す。また、もどき料理と呼ばれるものができて、植物性原料を用いて、動物性の料理に似せたものを作った。
このように大豆を使った加工食品が加わり、かつ味噌から味噌汁ができて、日本料理の骨格ができたのである。
江戸時代なると、ファーストフードのブームが起きて、江戸前寿司、天ぷら、そば、うなぎなどが加わるのである。
戦前には軍隊で食べていたカレーや菓子パンが、そして戦後、ラーメンが日本食に加わるのである。