みなさん、コーヒーは好きですか? 私は自他共に認めるコーヒー好きで、もう何年もの間、1日も欠かさずコーヒーを飲み続けています。しかし、コーヒーに含まれるカフェインなどの成分は、代謝の低下や冷え性悪化の原因となるなど、どちらかといえばあまり身体に良いイメージはありませんよね。ところが最近の研究で、コーヒーは大腸がんのリスク軽減に一役買っているという結果が発表され、コーヒーについての常識が変わりつつあるようです。
これまでの常識を覆すコーヒーの健康効果とは?
コーヒーを日常的に飲むと、アルコールなどによる肝臓へのダメージを低減させるという研究結果については、以前の記事でもご紹介しました。
一日にコーヒーを2杯飲んだ場合、肝硬変にかかる確率を約40%も低下させるという何とも驚くべき研究結果が得られたのです。
CBS NEWSによると、さらに今回、アメリカで行われた研究ではコーヒーを飲むことで大腸がんのリスクを50%近くも減らせることが分かりました。
「がん予防効果の原因として考えられるのは、おそらくカフェインではなく、コーヒーを焙煎する際に放出されるカフェイン以外のたくさんの成分によるものだと思われる」と語るのは、本研究の主管研究員でありクラリット・イスラエル国立がんコントロールセンターのセンター長でもあるガッド・レナート医師。
「これらの研究結果は、必ずしもコーヒーそのものが大腸がんのリスクを軽減させることを実証できるものではなく、あくまでもコーヒーがリスクの減少に何らかの形で関係している可能性があるということを示しているにすぎないが、その関係性はとても強く現れている」と、レナート氏は話します。
そして、「何年もの間、コーヒーは体に悪いのかどうか不確かだったが、現在ではコーヒーが体に良いのだと断言できる証拠がある」とも語っています。
南カリフォルニア・ノリス総合がんセンターの研究者たちをはじめとするレナート氏の研究チームは、今回の研究のために、大腸がんと診断された北イスラエルの男女5,100人以上を調査し、過去に大腸がんにかかったことのない男女4,000人のデータと比較しました。
すべての被験者は、エスプレッソやインスタントコーヒー、ノンカフェインや濾過したコーヒーを含め、どれくらいの量のコーヒーを飲んだのか、また、親族の中にがんになった人がいるかどうか、食習慣や身体的な運動量、喫煙の有無などについて報告しました。
その結果、1日あたり1~2杯のコーヒーを飲むと、大腸がんのリスクを26%軽減させることが明らかになり、さらに1日に2.5杯以上のコーヒーを飲んだ人たちは、50%もリスクを減少させたという結果が得られました。
また、大腸がんのリスクはどんな種類のコーヒーを飲んでも同じように減少するそうです。
「この研究結果は、他の研究結果と矛盾しない」と、アメリカがん協会のがん解析部副会長スーザン・ギャプスター医師は言います。
また、ボストンにあるハーバード・メディカルスクール医学部準教授アンドリュー・チャン医師は、「コーヒーとがんリスクの軽減との関係性を証明するための根拠はたくさんある」と語ります。
そして、「さらにコーヒーは、がんがどのように発達するのかを知る手がかりになるかもしれず、そうすれば、一般的な大腸がんについての知識をより深めることができるはずだ」と付け加えました。
この報告はCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌で発表されました。
大腸がんはアメリカ国内において男女ともに3番目に発症率の高いがんです。
男性の1位は前立腺がん、2位は肺・気管支がん、女性の1位は乳がん、2位は肺・気管支がん。
そのうち男性の約5%および女性の4%が、生涯続く長期のがんに侵されているのです。
ちなみに日本における2013年のがん死亡者数は合計36万4872例、うち男性21万6,975例、女性14万7897例。
死亡者数を多い順に部位別で見ると、男性の1位は「肺」、2位は「胃」、そして3位が「大腸」となっており、女性に関しては1位が「大腸」、その後2位「肺」、3位「胃」と続きます。
男性は大腸がんによる死亡者数が3番目に多く、女性に関しては死亡者数1位が大腸がんとなっており、私たちも他人事ではありません。
コーヒー好きはもとより、普段コーヒーをあまり飲まない人も、「がん予防の一環」として1日数杯、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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Source by: CBS NEWS, Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention, 大和薬品, 国立がん研究センター
文/貞賀 三奈美