NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、ドラマのワンシーンにも登場する薙刀(なぎなた)について。戦国ドラマでは女性が使うイメージの強い薙刀ですが、もともとは武蔵坊弁慶などの豪傑が振り回す武器であり、室町時代までは戦場でも使われていました。では、なぜ薙刀は戦場から姿を消したのか?『真田丸』の戦国軍事考証を担当する西股総生さんが、その理由を検証・解説します!
今回のワンポイント解説(4月24日)
今回のテーマは薙刀。ドラマの中では、吉田羊さん演じる稲(小松姫)が薙刀を練習するシーンが出てくる。古い時代には弁慶のような豪傑が振り回していた薙刀は、時代が下ると女性用の武器というイメージが強くなる。なぜだろう?
薙刀は、室町時代までは戦場で武士たちがさかんに用いていた。ところが、戦国時代になると長モノの主役はすっかり鑓(槍・やり)に取って代わられる。「鑓働き」「一番鑓」などの言葉が示すように、 戦国時代の主力兵器は圧倒的に鑓だった。なぜそうなったかというと、日本の鎧は小札(こざね)という鉄や革の板をつづり合わせた構造になっているので、矢や刀には強いけれど、一点に力を集中させて突かれると、小札が破断して貫通してしまうから。こうして鑓が普及してくると、鑓は突いたり叩いたりする動作で戦うから、振り回す動作の薙刀が交じっていると、組織的に戦いにくい。そこで、薙刀は戦場から姿を消してゆくことになった。
ところで、各地の合戦祭りに自前の武具で参陣している人たちを見ていると、薙刀や長巻を自作して持っている人が多い。合戦祭りは要するにチャンバラごっこになるので、それだと振り回す動作で相手を斬る薙刀が有利、とのこと。なるほど。武田家の軍役関係の文書を見てゆくと、「一手役人」(部隊指揮官)だけは薙刀を持ってきてもよい、という規定が出てくる。これはおそらく、配下の足軽・雑兵たちがブルって戦列を乱すのを防ぐため。「逃げるなら斬るぞ」というわけだ(拙著 『戦国の軍隊』第4章参照)。
合戦絵図を見ていると、大将の本陣に薙刀が立てかけられている様子が描かれていることがある。江戸時代の参勤交代でも、殿様の籠の近くには薙刀持ちが控えていた。つまり、戦場で隊列を組んで戦う時には鑓の方がよいが、乱戦・個人戦になったら振り回して斬る薙刀が便利、ということらしい。
おそらくはこうした事情から、薙刀は城内での白兵戦や、不測の事態に備えて屋敷を守る武器のような位置づけとなってゆき、次第に武家の女性のたしなみとなっていった…僕は、そんなふうに推測している。
ところで…先週の米沢遠征では、城ガール隊の初芽さん、舘山城保存会の小野里一栄さんに大変お世話になりました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。舘山城の年代や築城者といった問題はさておき、素晴らしい城である事は間違いないです。また、良好なコンディションが保たれているのは、ひとえに保存会の皆様のご尽力によるものです。この城の魅力を、多くのお城ファン・歴史ファンの皆さんに伝えてゆく上で、今回作成した縄張り図が多少なりともお役に立ちますよう、TEAMナワバリング一同、努めてゆく所存です。
ちなみに、このコメントが掲載される頃、僕は富山県内の某スナックにて「出張・六文銭ウラ講座」をやっているはず。その件については、また後日。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
大坂編が始まり、兄弟の立場が明確に変わってきました。そして真田兄弟と言えば松ねぇさん! あれからどうなったの〜!?(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
大蔵卿局の「茶々さまは悲しむのをやめたのです」って台詞は、浅井長政と柴田勝家の顛末を知ってるからこそたった一言で意味が通るわけで、三谷幸喜は本当に視聴者である歴史ファンを信頼してるんだなと思った #真田丸
— カッツン (@kurogane_pl) 2016年4月24日
信繁がどこへ行っても心細い中での豊臣秀長の安心感がすごい。おそらくこの安心感あっての豊臣政権であったのであろうなあという演出。そんぐらい石田も利休も茶々も清正も片桐も秀吉も精神的な不安定さを感じさせる。家康一家と違って、みんなバラバラなのが怖い大阪城 #真田丸
— 地雷魚『越天の空』イカロス出版より発売中 (@Jiraygyo) 2016年4月24日
秀吉があまりに女にしか興味を持たないので部下たちは超美少年の小姓をあてがったら秀吉は色をなして小姓の手を握り物陰に引き込んだので部下たちも喜んでいたらその小姓曰く「殿下は『そちに姉か妹はおらぬか』とお尋ねになりました」部下はそろってガッカリ、という記録が残っている #真田丸
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2016年4月24日
凄いなこれ。信繁の答えの見えない混乱を城中を迷うシーンと絡めて、最後の希望として、死亡フラグの象徴化した茶々を持ってくるとは。 #真田丸
— 神無月久音 (@k_hisane) 2016年4月24日
真田と上杉は固い絆(二度の裏切り歴あり) #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年4月24日
茶々は身近な者の死を悲しむのはやめた。父の命を叔父信長と秀吉に奪われ、母も同じく秀吉に死に追い込まれ。大坂城では気に入った若者を次々殺された。彼女の置かれた境遇が恐ろしすぎる。#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年4月24日
悪い知らせ#真田丸 pic.twitter.com/y7CltPECys
— だれんす嬢 (@DaLeyns) 2016年4月24日
「茶々様に手を出すと殺される」ではなく「茶々様に好かれると殺される」なので実質回避不可能な恐ろしさ… #nhk #真田丸
— 成瀬忠詠 (@naruseeigo) 2016年4月24日
ああそうか。この平野長泰さん、関ヶ原では東軍につき、徳川秀忠の配下となります。すなわち第二次上田合戦でこの信繁と戦うのです。 #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年4月24日
#真田丸 #丸絵
賤ヶ岳の七本槍は虎退治の加藤清正、キャベジンがお似合いの片桐且元真田丸ファンには最高な時間やった
茶々は信繁の頼み通り「殿下の留守に会ったこと」の秘密を守ったんでしょうね。あの一瞬寂しそうな陰がちらりと瞳に浮かんだ後の「大事ない。任せて。」にちょっとキュンとなった…。彼女の微笑みは地獄への切符でもあるけど、彼女もまた「囚われのプリンセス」なんだなぁ。 #真田丸
— 道人 (@dojindo) 2016年4月24日
徳川も最初の頃に比べればだいぶ強敵の風格を漂わせているのだけど、他が黒すぎて相対的な癒し枠 #真田丸
— 鴨田 (@bunbun_bungaku) 2016年4月24日
それとも、茶々は、誰か心底愛する男との間の子として、秀頼を授かるのだろうか? 現時点で、それが秀吉とは限らないよねぇーって思えるのが今作の凄み。#真田丸
— エミ-emitemit (@emitemit) 2016年4月24日
あかるい豊臣家 元祖田舎のヤンキー・加藤清正に目をつけられる #真田丸 pic.twitter.com/vmXeNjDdgD
— 御まる (@mamamaman_) 2016年4月24日
大河見終わった後に #真田丸 のタグで各々方の感想や解説を読むのが楽しい。自分では気付けなかった細かい作り込みとかわかるのホントに面白い。
— shiBass (@shiBass0215) 2016年4月24日