今や世界中の映画監督が参加する短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2015」が、6月4日(木)から6月14日(日)まで東京・横浜など6つの会場で開催されています。
約200本の世界各国の短編映画が上映される中、フランス短編映画のラインナップはとびぬけて哲学的でありアート思考。その中でクオリティが高く、そして未来のゴダールになるかもしれない若手映画監督三人の作品を紹介したいと思います。
寺島しのぶ&寺島進主演「サベージナイト」
まずは寺島しのぶと寺島進のW寺島が主演した作品。
俳優としても活躍している監督のKristof Sagnaが、ベルリン国際映画祭・銀熊賞を受賞した『キャタピラー』の寺島しのぶを見て、オファーを出したのだとか。ちなみに寺島しのぶはこれが海外映画初挑戦らしいです。
フランス政府の協力のもと、日本国内で撮影されたという本作の内容は…ヤクザ映画!(寺島進だから?)
寺島しのぶ演じるアイコは無断欠勤の同僚売春婦宅へ訪れる。しかし、そこにいたのは同僚の死体と赤ちゃんだった。アイコはその赤ちゃんを守りながらも事件に巻き込まれていく……。寺島しのぶの背中には、トラの入れ墨が彫られており、何とも怖くそして力強い女性を演じております。フランス映画とはいえ、セリフも日本語のため、日本人にはとってもわかりやすい作品なのではないでしょうか?
オオカミを愛しすぎた少女の冒険『エルザとオオカミ』
この映画のテーマは、少女とオオカミの不思議な愛です。
「エルザとオオカミ」の主人公である少女エルザは、とんでもなくオオカミ愛に満ちた少女です。少女エルザは右手つけたオオカミの人形手袋をいつも手放しません。
常にぬいぐるみとエルザは一心同体。いつしかその大事なぬいぐるみから、ついに綿がはみ出てしまいます。エルザは綿が出たぬいぐるみに落ち込み、 その失意の思いを「脱走中のオオカミ」に向けていきます。ここまでオオカミ愛に満ちていると、はたして脱走中のオオカミに会うことはできたのでしょうか。
「エルザとオオカミ」の監督は若手女性映画監督Alice Vial。なんと20代の若い監督です。
彼女の2009年デビュー作「Spirale」も短編映画です。驚きなのはデビューしたときは23歳という若さ。未来の注目映画監督です。
ボリス・ヴィアン原案『私たちのファウスト』
ファウストというとゲーテを想像しますが、この作品の原作はフランス作家ボリス・ヴィアンの短編小説「Notre Faust(私たちのファウスト)」です。ボリス・ヴィアンとえいえば、フランス映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」の原作で有名ですね。ストーリーは謎めいていて、美しい少女マリアが、正体不明の不思議な大人の女性と交流する話を描いています。フランス映画「美しい棘」が好きな方にお勧めの一本。
フランスが誇る有名作家の映画化を務めた監督は、Elsa BlayauとChloé Larouchi。二人はフランスの映画学校「パリ国立映画学校」出身です。余談ですが、映画学校も「国立」が存在するなんて驚きですね。なんとも、アートな国。
「フランス映画ってゴダールとかでしょ?なんか難しそう…」。そんな方は、短編映画から挑戦してみてはいかがでしょうか?
information:
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2015
6/12(金)20:00 – 21:50 二子玉川・iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ