インド、パキスタンは核兵器保有したから、日本も大丈夫?
インド、パキスタンは核を持ちましたが、制裁措置を受けていません。オーストラリアは当初、インドに対し、ウランの輸出を禁止しましたが今ではインドにウランを輸出しています。
(Tさまのメールから)
これは、そのとおりです。インドは、1974年と1998年に核兵器実験を行っています。パキスタンは、1998年に核兵器実験を行っています。「だったら、日本だっていいじゃないか!」と思えますね。
しかし、インド、パキスタンと日本には、大きな違いがあります。インドとパキスタンは、最初から「NPT」に「参加していない」のです。条約に調印していないので、そもそも「NPT」の決まりを守る義務がありません。
では、日本が目指す「NPTに参加していたが『脱退』して核兵器保有国になった国」はあるのでしょうか? 1か国だけあります。北朝鮮です。
日本が「NPT」を脱退して核保有国になれば、「北朝鮮と同じことをした」ことになります。もちろん北朝鮮のように「孤立」し、北朝鮮のように「制裁される」ことでしょう。
日本に経済制裁はできない???
日本は世界3位の経済規模を持っています。これは世界各国から多くの物を輸入しているということです。禁輸によってむしろ今まで日本に多くの物を輸出していた国のほうが困ることになります。
(Tさまからのメールから)
「日本はGDP世界3位の大国なので、経済制裁など無理」
ところで、2010年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こりました。この時、中国は、サクッと「レアアースの禁輸」を決めています。これも、一種の経済制裁ですね。日米欧豪は現在、世界有数の資源大国ロシアに対し経済制裁を続けています。
「経済制裁」のすごい(?)ところ。それは、「自分たちが損をする部分は、制裁リストから外すことができる」ということです。「日本が輸入をしなくなると、世界が困る」というのなら、「日本の輸出は禁止、日本の輸入は、制裁する側が困るのでOK」と自分たちでルールを設定することができる。「日本の輸出を禁止したら困る」ということであれば、「輸出したら困る品目だけリストから外す」こともできるのです。
要は、「制裁する側はあまり困らない」「日本だけが困る」方法で制裁できるということです。欧州はロシアに経済制裁していますが、ちゃっかりロシアから原油とガスを輸入し続けています。つまり、「日本に制裁したら、世界が困るから制裁しない」ということにはならない。「日本だけが困り、俺たちはあまり困らない制裁をしよう」となるでしょう。