「嫌な奴ほど出世する」のか「出世すると嫌な奴になるのか」、この手の話題は昔からよくありますが、米国おいては「中身がダメな人だからこそ”偉い人”になれる」んだそうで…。メルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』では、米国支配層において、学位や社会的地位などの肩書きがなぜ必要なのかというお話。著者の加藤健二郎さんが、その理由を皮肉たっぷりに説明しています。
米国支配層の学位
学位や社会的地位などの肩書きや実績についてのお話。「あの人、立派な学位を持っているのに、内容がダメじゃん」っていうことが話題になることもある。これに対して「接続詞の使い方が間違ってるだけだよ」との意見が出た。「内容がダメな人だから、立派な肩書きを必要とするんじゃん」とのこと。なるほど。
学位などの肩書きのようなものは、内容がダメな人のためにある道具だ。そういう見方は、米国の支配層の中では、かなり強く浸透しているといい、米国ビジネスを経験してきた元コンサルさんが、具体的な例について語ってくれた。
米国の途上国開発援助組織が、どこかの発展途上国(魅力的な資源がある国)に援助した場合の、その国の発展から生まれる利益を算出する現地調査をしたとしよう。その調査報告書の結果は、最初から決まっている。
年利15パーセント以上にはなる金利を払い続けられるくらいの成長が見込まれることになっている。この年利が低い数字になると、米国政府からの予算を採れないので、15パーセント以上のテキトウな数字を書く。その数字になるようなウソの現地報告を書く。
そして、米政府からの開発予算を獲得して援助する。しかし、無計画なところにお金を突っ込むだけなので、利益なんて上がってこない。利益が出なければ、援助された途上国は借金地獄になる。返せないほどの借金に膨らむまで、米国は叱ったりはせず、借金が膨らんだ段階で取り引きを提案する。その途上国に有望な地下資源などがあれば「その利権を譲渡せよ」とかの提案でもいい。
地下資源というと、現地国にとっては、おいしい埋蔵金のように思う人もいるかもしれないが、たいがいは、採掘して運搬して加工して製品にして売るには、膨大な金がかかり、先進国の技術を必要としている。地下資源の中では手間がかからない方といわれている原油だとしても、パイプラインや貯油施設、タンカーに積載する港湾施設オイルバースなどが必要だ。それらの設備を作らなければ、原油を金に換えて借金を返済することはできない。そのため、石油関連施設を建設する費用を借金しなければならない。当然米国関連金融機関が貸す。そして、また、利息のために返済義務金額が増える。
こうして、資源のある発展途上国は、米国の資本主義支配の軍門に下ることになる。借金を返せなければ「では、米軍が駐留できる基地を提供しろ」「進出する米国企業と居留米国人には優遇措置を」と次の取り引きを提案。
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