現代人の大いなる悩みであり、特にミドルエイジのほとんどが気にかけている肥満の問題。イギリスの調査で、通勤手段との相関関係が明らかになってきました。
マイカー通勤者は自転車通勤者よりも平均体重4、5kg多め
ロンドン大学衛生熱帯医学大学(LSHTM)による最新の研究で、徒歩や自転車等で通勤する人、つまり体を動かしながら通勤している人は、「車通勤者と比べて肥満度と体脂肪率がともにかなり低い」という結果がでました。
これは、2006年から2010年にわたり、15万人以上の40歳~69歳のイギリス人の中高年を対象におこなわれた研究です。
自転車通勤をしている人は、車通勤者よりも男性は5kg、女性は4.4kg、平均体重が少ないという結果でした。
平均4~5kgとはなかなかの違いですね。
公共機関で通勤する人の結果も車通勤者より低いことから、通勤時間を使って毎日、“ついでに”体を動かしているということが大きな要因のようです。
ちなみに下記はロンドン市内の通勤状況を示した地図です。
image by: CITYLAB
【色別の通勤状況】
オレンジ=電車 or メトロ
ブルー=車
パープル=バス or コーチ
レッド=自転車
イエロー=タクシー or バイク
ブラウン=在宅勤務
詳細はこちらから確認できます。
郊外の人は車通勤、都市部はメトロやバスを利用している状況がわかります。
主席研究員のエレン・フリント医師は次のように話しています。
「車通勤に比べて、公共機関、徒歩、自転車、またはいくつかを組み合わせた通勤は、統計的に肥満度や体脂肪率を下げることが立証できました。職場から徒歩や自転車だけで通える距離に住める人たちはそれほど多くないにしても、公共機関を使って通勤する人たちも、通勤の“ついでに”運動をすることが重要なポイントなのです。肥満がさまざまな問題を引き起こしかねない中高年期には特に、公共機関での移動や、自転車・徒歩通勤を積極的に取り入れることが重要です。もはや個人の行動選択のレベルではなく、国家や組織レベルの取り組みとして必要かもしれません」。
また別の医師によると、体を動かすことは健康的な体重を維持する役割があり、長期間にわたり少しずつ体を蝕んでいく冠動脈心疾患、糖尿病やガンなどになりにくくするのに効果があります。
日常生活に徒歩や自転車を取り入れるのに、遅すぎることはありません。
今すぐ取り組むことをオススメします。
また、車社会のアメリカでもこの研究結果についてFoxニュースが取り上げています。
アメリカでは大人の3分の1が肥満に区分され、徒歩や自転車による通勤はたった18%の人だけだそうです。
一方、日本では、ご存知のように東京や大阪等都市部においては公共機関がイギリス以上に発達しています。
研究結果では、通勤中の運動は強度としては”心拍数の上昇”や”発汗レベル”が健康維持にちょうどよいレベルであるということがわかっていますが、東京の通勤電車のすし詰め状態を一度は見てもらって、日本の研究結果も知りたいところではありますね。
Image by: pcruciatti / Shutterstock.com
Source by: The Independent, Foxニュース, 国勢調査
文/桜井彩香