アメリカ不干渉で、朝鮮半島は中国の支配下に
トランプさんが大統領になり、あらためて、「アメリカは、決して朝鮮半島の戦争にはかかわらない!」と宣言したとしましょう。北朝鮮は中国と相談し、南進を開始することでしょう。
中国は、国際的に非難されるのが嫌で、「人民解放軍」の正規軍は出さないかもしれません。しかし、ロシアがウクライナ東部でやっているように、「義勇兵」を送るかもしれません。それも、「何百万人」という単位で。
国際社会が非難したら、「彼らが勝手にやっていることで、私たちにはどうすることもできない」などということでしょう。いずれにしても韓国軍は北朝鮮軍に負け、事実上中国の支配下に入ります。
南シナ海も中国の支配下に
「アメリカは動かない」ことを第2次朝鮮戦争で知った中国。次は、南シナ海を全部奪い、「中国の海」にすることでしょう。東シナ海は? 日本も、米軍抜きで尖閣を守りきれるかかなり難しそうです。
ここまで書いたことは、「突飛」でも「非常識」でもなく、きわめて「普通」の見通しです。トランプさんが、「朝鮮戦争は、勝手にやってくれ! アメリカは関係ない!」というのは、要するに「覇権国家引退宣言」です。
ところで、アメリカが実際「朝鮮戦争にかかわらない」ということはありえるのでしょうか? もちろんありえます。前々から書いていますが、「シェール革命」で世界一の産油、産ガス国になったアメリカは、(資源たっぷり)中東への関心を失っている。結果、アメリカは、イスラエルやサウジアラビアを見捨てている。
今年1月、サウジアラビアとイランの対立が激化し、両国は「国交断絶状態」になりました。そのとき、アメリカ政府は、はっきりと「アメリカは仲介をしない!」と宣言しました。アメリカは、「もう利益がない」と思えば、伝統的な親米国家でも遠慮なく切る。中東で起こったことがアジアで起こらないといえるでしょうか?
いずれにしても、共和党最有力候補の言葉です。日本は、トランプさんが大統領になり、
- 在日米軍を日本から撤退させる
- 日本の核保有を認める
- 朝鮮戦争が起こってもアメリカは関わらない
と言われたとき「どうするのか?」、今からシミレーションしておくべきでしょう。
image by: Andrew Cline / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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