テツコも知らない世界。JR武豊線・武豊駅が、東京駅と並ぶ「日本一高い駅」な理由

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日本の鉄道網の中心である東京駅は、上り電車しか来ないことから、“日本で一番高い駅”って言われることがありますよね。ところが、2003年創刊の老舗鉄道メルマガ『Magazine de Station』によると、愛知県を走るJR武豊線の終着駅・武豊駅も、東京駅と同じように上り電車しか来ない、すごく珍しい駅なんだそうで……。

なぞなぞの「日本一高い駅は?」に物申す。

「日本一高いところにある駅はどこだ?」というなぞなぞがあります。

これがクイズなら「(JR東日本・小海線)野辺山駅」(二本のレールで走る普通鉄道では一番高い位置にある)、もしくは「(立山黒部貫光・立山トロリーバス)室堂駅」(「鉄道」の範疇に特殊鉄道を含めて索道を含めなければ一番高い位置にある)、あるいは「(中央アルプス観光・駒ケ岳ロープウェイ)千畳敷駅」(「鉄道」の範疇に特殊鉄道も索道も含めれば一番高い位置にある)……こう答えておけばまず間違いないのですが、其処はなぞなぞですから答えは「東京駅」

何故かというと、「来る列車が全て上り列車」だから。はい、お後がよろしいようで……と言いたいところなのですが、実はこのなぞなぞ、難癖をつけようと思えばつけられるんですよね。

ポイントは「来る列車が全部上り列車だから」この点なんですよ。実はJRグループに絞ってみれば「来る列車が全部上り列車」という駅というのは、東京駅以外にももう一箇所存在するのです。

愛知県知多郡武豊町・武豊線「武豊駅」がそれなんです。

実は武豊線は、上り列車と下り列車の向きが普通と逆なんです。普通、武豊線のような支線だと「本線に向かう列車」が上りになるんですが、武豊線に限ってみれば「武豊行が上り」で「東海道線との連絡駅である大府行が下り」になるんです。

嘘だと思ったら、時刻表で列車番号を確かめてみてください。時刻表などでは、武豊行は便宜上「下り」となっているのですが、列車番号は「上り列車」を示す「偶数」の列車番号ですし、反対の大府行は同じく便宜上「上り」となっているのですが、列車番号は「下り列車」を示す「奇数」の列車番号のはずですから。

なぜこうなったかというと……
1.武豊線は武豊の方から建設が始まった、という歴史的いきさつ。
2.大府で連絡している東海道線の向きに合わせた

この二つの要因が重なって、武豊線では武豊行が「実質的下り列車」ながら、上り列車になってしまうんですね。

ちなみに、愛知県で一番最初に開通した鉄道路線は武豊~熱田間でして、これは現在の武豊線の大府~武豊間と、東海道線の大府~熱田間に相当する路線です。

ついでながら「東海道線が現行の安城~刈谷~大府~名古屋というルートになった理由は、知立(=池鯉鮒)のあたりでの『鉄道反対運動』があったから」という「怪説」もありますが、実は「先行で開業していた武豊熱田間鉄道に大府あたりで接続させれば、建設費用が安くなった」と言う点が大きいのですね。

(※蛇足:『鉄道反対運動』という「怪説」を発展させると…愛知電気鉄道=名鉄名古屋本線の神宮前~豊橋駅を開通させた会社=が知立を通るルートにしたのは「東海道線を通させなかったことで寂れたことに対する後悔」から誘致した、ということになっているのですが、まあいずれにしろ「鉄道反対運動」に関して言えば「それを裏付けるだけの資料がない」ので……「『先見の明が欠けていた』ことで、後々までの恥になるものだから残さなかった」と言ってしまえば、「はいそれもごもっともでございます」なのですが。)

もともと武豊~大府~熱田という路線があって、それに接続させるわけですから、東海道線が(逢妻方から見て)大きく曲がる形で大府に入っていくのが当たり前というものです。

似たようないきさつを持つ駅の例としては、多気駅における参宮線と紀勢線、近鉄道明寺駅における道明寺線と南大阪線大阪阿部野橋方面、同じく古市駅における長野線と南大阪線橿原神宮前方面 が挙げられます。(例として挙げた駅では先に書いたほうの路線が先に開通しております。)

では、この辺で(^^)/~~~

image by: Wikipedia

『Magazine de Station』
中央西線沿線住民のハンドルネーム「M.G」による「鉄道・軌道系メルマガ」。
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