自他ともが「世界のリーダー」と認めるアメリカ。その大国は、正義の名の下に各地の紛争などの解決にこれまで積極的に動いてきました。しかし、その「正義」にウソがあったとしたら? 無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、アメリカはこれまで世界にいくつものウソをついてきたと断言しています。
情報戦争と巨大なウソ
慰安婦問題などで日本が抱えているフラストレーションは、「完全な証拠を提示しても、日本側の主張をほとんどきいてもらえないこと」です。たとえば、
・アメリカ政府が7年かけて調査したが、強制連行のケースは一件もなかった。
もちろん、日本政府がこの証拠を積極的に使っていないこともありますが…。この「事実、真実をスルーされる状況」はなぜ起こるのでしょうか?
日本人は、「事実、真実だと理解してもらえれば、相手の態度は変わるはずだ」と信じています。これが通用するのは、「相手が事実、真実を求めている場合」に限られます。もし相手が「確信犯」で「ウソ」をついていたら、「事実、真実」を話しても、「スルー」されることでしょう。
実際、日本人は、「情報戦」についてナイーブすぎます。この世界では、「ウソと知りながらウソを拡散し、場合によっては戦争までしてしまうケース」があふれている。「中韓がウソをついている」といったら、「普遍的なケース」にあてはまらないでしょう。「いや、ウソをつくのは中韓だけですよ」と。
では、私たちが「正義の味方」と信じているアメリカは、ウソをつかないのでしょうか? いくつか「絶対的な証拠」がある、「衝撃的」と言っていいケースをあげておきましょう。
イラク戦争、開戦時のウソ
アメリカは03年、イラク戦争を開始しました。理由は、
- フセイン・イラクは大量兵器を保有している
- フセイン・イラクは、アルカイダを支援している
でした。この2つ、両方とも「ウソ」だったこと、皆さんご存知でしたか?
米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。
(読売新聞2006年9月9日)
報告書は「フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない」と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた。
(同前)
このウソで、イラクでは10万人以上の人が亡くなったといいます。