痛み止めとして広く使われている「ロキソニン」に重大な副作用が追記されたとして話題になっています。家庭の常備薬と言っても過言でないほどのロキソニン。「使えなくなったら困る!」という多くの読者のために、無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』の著者で薬剤師、そして薬学博士でもあるDr.ハセさんが今回の騒動をわかりやすく解説してくださいました。
解熱鎮痛薬のロキソニンに重大な副作用?
解熱鎮痛剤として使われているロキソニンに、重大な副作用として小腸・大腸の閉塞・狭窄などが追記された、というニュースが話題になっています。
問題の医薬品は、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」(商品名・ロキソニン錠60mg、同細粒10%、ロキソプロフェンナトリウム内服液60mgなど)で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が今月22日に発表して以来、ネットなどで大騒ぎになっているようです。
ちなみにこのロキソニン錠は、関節リウマチや変形性関節症、腰痛症、歯痛といった疾患・症状などに対し、消炎や鎮痛などの効能・効果があるとされており、広く用いられているものです。
PMDAによると、今回の発表は国内で症例が集積したことから、使用上の注意の「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う」などと追記するよう求めたとのことです。
ところがネットでは、「ロキソニン」という薬に重大なリスクが見つかった、との誤解がされて伝えられているようなのです。
厚生労働省の通知にある専門用語を理解せずに、ネットで騒がれているというのが実情のようで、「ただちに使うのをやめてというような、緊急性の高い話ではない」とのことですのでご安心を。
ちなみに今回のロキソニンについての注意書きが改訂されることになったきっかけは、安全調査で事例報告が集まってきたからだということで、報告数は直近3年間で6例だったそうです。
ロキソニンは長い歴史のある薬で、今回の副作用はようやく見つかったもの、というのが正しそうです。
勿論、薬には副作用がありますので注意は必要ですが、その内容を理解した上で、適切に使用することが肝要です。
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