NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、なぜ上杉家が「義」を重んじるかについて。今回の12話でも反抗的な態度の国衆に手を焼いている上杉家の様子が描かれていましたが、その理由は謙信の父・長尾為景に原因があったようです。為景はどんなことをしてしまったのでしょうか。
今回のワンポイント解説(3月27日)
今回のワンポイント解説は、上杉景勝の立場。戦国時代の越後では、しばしば反抗的な態度をとる国衆たちに、謙信も景勝も手を焼いている。なぜ、こんな事になったかというと…
ご存知のように、謙信の最初のもともとの名前長尾景虎。彼の家は、越後の守護代をつとめていた。ところが、謙信の父である長尾為景は、主君である守護の上杉房能を倒し、後継者の上杉定実を傀儡化して、越後の実権を握ることになった。越後を束ねるのが難しかったのは、国衆たちがこの下剋上に反撥した(当たり前だ)から。その結果、国衆たちを押さえ込まなければならない為景や謙信は、自分こそが越後の正当な支配者(国主)なのだ、という体裁を繕うのに懸命だった。 戦いに際して大義名分を重んじてみせる、という謙信のパフォーマンスも、こうした事情によっている。
その謙信が死んだ後、御館の乱を制して越後の国主におさまったのが景勝。彼もきっと、自分が越後の正当な国主であることをアピールするのに、気をつかっただろう。このドラマで遠藤憲一さんが演じている景勝は、こうした彼の立場をうまくキャラクター化している、といえそうだ。なお、為景や謙信について詳しく知りたい人は、拙著『東国武将たちの戦国史』(河出書房新社 1600 円)をお読み下さい!
それから、今回から真田一家の居城は上田城になる。背景にあるのは、室賀正武を討って小県を統一し、徳川と敵対したという昌幸の立場。一方、上田城は本来、前線地域に築かれた作戦基地。つまり、自立自存の道を歩んでゆくため、軍事基地の中に家族みんなで住むことにしたわけ だ。冒頭のシーンで、きりが「今までのお屋敷とは大違い」と言っていたのは、そうした事情を反映している。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
出陣させて三十郎に怒られました。ちなみに『ふぅ~ん、真田丸』でも海を見て喜ぶ幸村が描かれております。こちらも副読本としていかがでしょ?(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組
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4月10日(日)「戦国の城基礎講座と空堀ワンダーランド・小机城」※現在キャンセル待ち
5 月 14 日(土)「土の城はココまですごい! 徹底攻略・杉山城」
5 月 24 日(火)「戦国の城基礎講座と空堀ワンダーランド・小机城」第二弾
6 月 4 日(土)「縄張りの読み方講座と再発見!菅谷城」
今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
どこぞの御方は義を重んじないけど、疑とか偽とかは重んじてるよ(´・ω・`)#真田丸
— 山本八重さん@執筆中 (@aizu_sniper_yae) 2016年3月27日
清く気高い姿から虚勢を恥じる姿まで見せてくる景勝さまと、上杉家をドライに守りながらも結局は景勝さまの信念を大事にして折れてしまう直江の主従コンビ、すごくいい。
今までひたすら山だらけの舞台だったから、海が見えたのも視界がひらけた感じで気持ちよかった。オアシス回だなぁ。 #真田丸— 高枝景水@若旅コミック乱連載中 (@namazudou) 2016年3月27日
今日の兼続の「戦のために人質を返すなど聞いたことがないわぁ!」の「わぁ!」は信幸の「国集の説得は?」「うん、諦めた!」「ちちうぇ!」の「ぇ!」に匹敵するくらい面白かった。
兼続さんと信幸さんは良い呑み友達になれると思う。#真田丸— ぬえ (@yosinotennin) 2016年3月27日
景勝「なんとかならぬのか」兼続「なりません」景勝「そこをなんとか」兼続「そういうと思って準備はしておきました」信繁「ついでに我らも帰してくれませんか」兼続「調子に乗るな」景勝「そこをなんとか」兼続「そういうと思っていました」 この兼続、優秀でわけがわからないよ #真田丸
— キュゥべえ (@QB0) 2016年3月27日
一方その頃伊達家では、片倉小十郎(景綱)が主君政宗より先に子供が出来るなんて忠義の心に欠けると長男を殺そうとして政宗に全力で止められるよ
その時生まれた子供が成長して大坂の陣で信繁と激しく戦い、後にその娘を嫁にする片倉小十郎(重綱)だから宮城においでよ#真田丸 #天正十二年
— おいでよ宮城 (@oimyg) 2016年3月27日
この鉄火起請、信長公記にも出てくるんだぜ。信長は鉄火を素手で持ったそうだ。さすが信長、苛烈 #真田丸
— すんすけ (@tyuusyo) 2016年3月27日
上杉家、なんとなく善玉っぽい雰囲気だけど意思決定のシステムがメチャクチャ(CEOは出来ない約束をすぐOK、部下が支離滅裂な行動をしてもCEOが追認、末端は勝手な行動の繰り返し)で、なんかこうダメな企業感がするんだよな。『常山紀談』などだと「上意下達がすごい」はずだった #真田丸
— すんすけ (@tyuusyo) 2016年3月27日
天正12年(1584年)数え年
真田信繁 18歳
真田昌幸 38歳
真田信幸 19歳
真田信尹 38歳
出浦昌相 39歳
徳川家康 42歳
本多忠勝 37歳
本多正信 47歳
上杉景勝 29歳
直江兼続 25歳
北条氏政 47歳
北条氏直 23歳
板部岡江雪斎 48歳
#真田丸— ひろ@3/30THEJSBLEGACY (@antares_16) 2016年3月27日
今回の放送で直江兼続という男はつまるところ、上下の隔たりなく誰の話でも聞いてあげて、できない相談事でも引き受けちゃって、先延ばしにしちゃったりするけど、一度した約束は自身の立場そっちのけで守ろうとする不器用ながらも義を貫く御屋形様にメロメロということが分かってしまった #真田丸
— おつきそう (@ohtsukisow) 2016年3月27日
景勝様が恰好つけなのは、謙信公を継ぐものとしての体裁の部分もあるよね。
力(武力・財力・カリスマ性)なき義の悲しさを感じてしまった。
でもそこをなくしてしまったら上杉が滅びるのがわかってるから、兼続は文句言いながらも仕事をこなしていくんだろうなぁ。#真田丸— さかぐらし (@saka_gura_shi) 2016年3月27日
そういや景勝様も「偉大な父(義父だけど)を持つ二代目」の一人なのよね。今年の大河、一貫して描かれる「父と子」がここにも。 #真田丸
— もも。 (@T_Momobayashi) 2016年3月27日