基地移設問題で揺れる沖縄。1万人を超える海兵隊員が駐留していますが、その「抑止力」については意見が分かれています。しかし、地政学者で軍事問題に精通した奥山真司さんは無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』の中で、それらの議論で決定的に欠けている視点があると指摘。それは、「アメリカ海兵隊は日本にとっての『人質』である」というものだと言うのですが…、米海兵隊が日本の人質ってどういうことなんでしょうか。
沖縄駐留の米海兵隊は「トリップワイヤー」的な「人質」なのである
おくやまです。
今回は、日本の「産経新聞」に掲載されていたトピックについて少々。
私の番組でも取り上げたのですが、産経新聞に毎週金曜日が掲載している「金曜討論」というコーナーの記事をとりあげてみたいと思います。
【無料動画】沖縄の海兵隊は人質(=トリップワイヤー)である。
この記事は、毎回2人の識者が出てきて、1つのテーマについて、それぞれ正反対の立場から議論を戦わせるというもの。実際に相対してガチンコで議論を「戦わせる」わけではなく、あくまでも産経のインタビューに対してそれぞれの立場を述べるという体裁です。
この記事の5月8日付のテーマは、沖縄に駐留している、アメリカ海兵隊の「抑止力」について。
この「抑止力」とはどういうことか? というと、沖縄に駐留しているアメリカの海兵隊に対して、中国や北朝鮮が「こいつらに手を出したらヤバイ…」と思うか否か? ということでして、つまり、戦争の勃発を防げるのか? です。
まず「ノー」の立場を代表するのが、国際地政学研究所の理事長の柳澤氏。
氏は元キャリア防衛官僚という長年の経験から、沖縄に米海兵隊は「抑止力」になっていないと主張しておりまして、とりわけそれを海兵隊の軍事的な合理性から話をしております。
そして、「イエス」の立場を代表するのが、慶応大学の准教授である神保謙氏。
この方も、同じく軍事的合理性から、沖縄の米海兵隊は十分な「抑止力」になっていると主張しております。
しかし、この2人の議論に決定的に欠けていた視点があるのです。それは…「アメリカ海兵隊は日本にとっての『人質』である」というもの。
読者のみなさんの中には、思わず冷や汗、という方がおられるかもしれませんね。
ですが、アメ通読者のみなさんに、大手メディアに載るような「建前論」を必要はありませんので(笑)敢えて、「本音」の話をします。