小学校教諭でもある松尾英明さんのメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』。今回は、奥深い「国語」のお話です。私たちが普段何気なく使っている「右」と「左」という言葉ですが、この語源を聞かれても答えられる人は少ないはず。「右に出るものはいない」「左遷」など、普段耳にする言葉を取り上げながら、言葉の謎を紐解いていきます。
優位は右か左か
上座は右か左か。そもそも、なぜか。右や左の語源は何か。こういうことは気になり出すと、止まらない。
日本は、神話を読むとわかるが、「左優位」である。そして「天子は南面す」ということで、玉座は南向き。南向きの玉座に座ってみると、左側が東。日の昇る方角である。だから、左が優位。さらに言うと、「左」は「日出り(ひでり)」が語源というのが現在の定説であるという(「右」は諸説あり)。
さて、ここで疑問が湧く。
「右に出る者はいない」=右が優位である。
なぜか。疑問が湧き、師の野口芳宏先生に尋ねてみた(自分で調べろというつっこみもありそうだが、たまたま聞ける状況だったのである)。
これは、「家来の側」から見た視点だという。王の玉座側から見ると、左が優位。しかし、正対している家来側からみると、右が優位になる(つまりこの場合、右が太陽の昇る東の方角)。
だから、「右に出る者」の方が偉い。そして、関連して「左遷」という言葉も、「左に落とされた」という、家来の側の視点である。言葉の主となっているのが、王ではなく人民の側なのである。
なるほど納得。普段何気なく使う言葉にも、歴史や意味がある。A.L.の流行もいいが、基礎となる知識は大切である。
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