魚の網膜の機能をヒントにした新型のコンタクトレンズが開発されました。今回の研究発表は老眼にお悩みのあなたには吉報かもしれません。
魚の網膜をヒントにしたコンタクトレンズ
米国科学アカデミー発行の機関誌「PNAS」に、魚の目からヒントを得た新しいコンタクトレンズに関する論文が掲載され、複数の海外メディアがこの研究について報じています。
コンタクトレンズ開発のヒントとなったのは、エレファントノーズフィッシュというナイル川などに生息する20センチくらいの魚。
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突き出した「鼻」が象の鼻のように見えるのでこの名前が付いたそうですが、今回、研究者たちに注目されたのは「目」のほうです。
この魚は光が届かず、泥が多くて視界がとても悪い川の中でも、ピントを調整できる特別な網膜を持っているのだとか。
そして、その機能と同じ働きをするコンタクトレンズを使うことで、人の老眼の症状を抑えることができるというのです。
さらに、暗い場所でも関係なく、はっきりとした視界を得ることができるのも、眼鏡や従来のコンタクトレンズとの大きな違いのようです。
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今回開発された液状コンタクトレンズにはセンサーと電子機器、ソーラー電池が内蔵されていて、レンズは数マイクロ秒単位で自動的に焦点を定めることができ、機器はソーラーの力で動きます。
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コンタクトレンズは長時間使い続ける必要がある一方で、非常に薄くて小さいものなので、小さくても充分な電力を維持できるだけの機器を作ることが開発におけるネックになっていたようです。
現在、老眼の症状を持つ人は、世界に10億人いるとされており、その半数は適切な処置を受けていません。
このコンタクトレンズが商品化された場合の市場の大きさを考えると、販売価格も従来のコンタクトレンズ以上にする必要性はないと、開発者は述べています。
日本の老眼人口は7000万人以上で、高齢者の占める割合も世界トップクラス。
商品化された場合、日本がとても重要なマーケットになることは間違いなさそうですね。
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source by TECH TIMES/ Business Standard/ Mail Online
文/長塚香織