【しんコロ】バリウムでは胃がんの早期発見が難しいってホント?

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健康診断で何気なく飲んでいるバリウム。胃がんの発見にどのくらい効果があるものなのでしょう? おなじみ、ニューヨーク在住の医学博士・しんコロさんが『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男』の中で詳しく教えて下さいました。果たして、バリウムは本当に胃がんの発見に有効なのでしょうか?

健康診断のバリウム検査、どのくらいに有効なの?

shitumon (1)会社の健康診断の項目でバリウム検査があり、毎年何気なく受けているのですが、どの程度の胃の病気を発見出来るのでしょうか?また、健康診断でしんコロさんは受けられますか?

 

 

 

しんコロさんの回答

日本では胃がんの発生率が欧米に比べて高いので、バリウム検査がこれまで一般的になっていました。バリウム検査の目的は早期がんを発見することにありますが、内視鏡(胃カメラ)検査の方がいくつかの点で優れているというとこから、最近ではバリウム検査に代わって内視鏡検査が一般的になりつつあります。

たとえば、バリウム検査では早期がんに至る微小な病変などを検出することはとても難しいですが、内視鏡ではその病変を捉えることができます。

がんではなくても、粘膜の色の変化などの微妙な炎症などもバリウム検査では捉えることはできませんが、内視鏡では確認することができます。さらに、食道にはバリウム自体がすぐに素通りして滞在しないため、食道がんなどの検出はバリウム検査では難しいとされています。

もう一つのバリウム検査のデメリットは放射線の被曝量です。胃バリウムの撮影検査では、一般的に15~20シーベルト被曝するとされています。これは胸部X 線検査の100~300倍ほどの被曝量で、また自然に被曝する一年の総量の10倍に匹敵します。被
曝量が高いと免疫細胞も破壊されますし、組織のDNA が損傷を受けますので発がんを含めて様々な副作用が起きうることも考えられます。

そして、バリウム検査でがんが発見された場合、いずれにしても内視鏡検査が必要なことが多く、結局2度手間になることさえあります。

最近では内視鏡の素材も細く柔らかくなっており、経験のある医師が扱えば以前ほど苦しい思いをせずに検査ができるようになっているようです。バリウム検査では胃がんが進行している場合にどれだけ組織にがん組織が浸潤しているかを確認しやすいというメリットはあります。しかし早期ガンを調べる健康診断の目的としては、内視鏡検査の方が優れているというのが最近の認識です。

ちなみに、アメリカでは胃がんが日本よりも少ないのでバリウム検査はあまり一般的ではありません。僕もアメリカに来てから健康診断はうけたことがありません。いまの職場で働くことになった時に健康診断を受けましたが、それは健康かどうかという検査内容ではなく、感染症を持っていないかという検査でした。職員が健康かどうかというよりも、病院で患者や他のスタッフにうつしてしまうような病気をもっていないかどうかの検査でした。

 image by: Shutterstock

 

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」

著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
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