安倍総理の米議会での演説により、日米関係はより強固になったと評価する、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』著者で国際関係アナリストの北野幸伯さん。とはいえ、大国に利用され捨てられていった国々の歴史を見ると、これを機に“中国批判”をヒートアップさせるべきではないとも語ります。北野さんが考える、対中戦略の理想的な展開とは?
なぜ日本は、中国を挑発してはいけないのか?
安倍総理の米議会演説は、日本にとってメッタにない外交的、戦略的勝利でした。
中国は、2012年9月に日本が尖閣を国有化した後、「反日統一戦線」を築くべく奔走してきた。そして「反日統一戦線には、中国、ロシア、韓国プラス米国を入れるべきだ!」とし、「日米分断工作」を強力に行ってきた。
その結果、2013年12月に安倍総理が靖国を参拝すると、世界的「安倍バッシング」が起こったのです。
そして、「終戦70年」にあたる今年、中国は再びアメリカでの工作を活発化させていた。
総理訪米前、「議会演説で、中国、韓国に謝罪しろ!」「慰安婦に謝れ!」などと米政府から圧力がかかり、官邸も困っていた。
しかし、安倍さんの演説で、中国の「日米分断工作」は、ひとまず挫折しました。
日本は、AIIBでアメリカを裏切ったイギリスやイスラエルよりも、もっとアメリカに近い存在になった。
これが、「戦略的勝利」の意味です。
しかし、一瞬たりとも油断はできません。戦いは、まだはじまったばかりなのですから。
今回は、「日本はこれから中国とどう接していくべきなのか?」を考えます。