しかし、これまでほど中国人が金を落とさなくなる一方で、訪日する中国人が増えることで、問題が大きくなるのは中国人のマナー問題でしょう。金を落としてくれるからまだ我慢できていたものの、それがなくなれば、中国人に対する世界からの批判の目はますます厳しくなるはずです。
中国人観光客のマナーに対する世界的な悪評に、中国国家観光局は昨年1月、野蛮な振る舞いをする中国人旅行客をブラックリストに掲載して公表すると発表しました。日本でも、妻が支払いを終えていない商品を開封して食べたことを注意したコンビニ店員を、中国人の夫が殴りつけるといった事件がありましたが、その男もこのリスト入りしているようです。
● インスタント麺食べ過ぎ…中国人観光客のマナーの悪さに習主席も怒り心頭 改善に本腰
日本でも、中国人が殺到する高級店や高級旅館には日本人が寄り付かなくなって困るという話をよく聞きます。中国人富裕層が減れば、こうした高級店は大きな打撃を受けることになるはずです。一方、これから中国人が増えてくるのが、一般レベルの店や旅館でしょう。「日本人と同じ体験がしたい」ということで、彼らはどんどん庶民的な店にやってくると思いますが、そうなると逆に日本人を遠ざける結果になるのですから、皮肉なものです。
台湾人は、中国人に見られたくないため、こうした中国人が殺到する店や旅館には行きたがりません。そして、中国人と間違われないために、大声で話したりすることもありません。だから日本の町中ではほとんどしゃべらない人が多いのです。
●「中国人に見られるのが悔しい」訪日台湾人、なぜか「無言」で観光…爆買いの陰で中台の深い溝
もちろん台湾でも、中国人が集まる店には台湾人はほとんど行きません。というよりも、そもそもそうした店は、台湾人経営ではないのです。台湾では中国人による観光業を「一条龍」(1匹の龍)と呼んでいますが、その理由は、客集めからフライトの手配、観光バス、ホテル、「免税品店」と称される店の買い物に至るまで、すべて中国系企業によって取り仕切られているからです。観光地にはほとんどお金が落ちない仕組みになっているのです。
各地に残されるのは、たいてい大量のゴミと大小便のみということで、中国人観光客が集まる観光地には、それ以外の外国人が寄り付かなくなります。そのため「黄禍」「華禍」などとも呼ばれ、忌み嫌われているのです。
インバウンド景気が一段落したあと、日本でも台湾と同様に、中国系企業による中国人観光客の囲い込みが始まる可能性があります。とくに疲弊した地方などでは旅館や土産物店が中国系企業に買収され、「中国人客専用」として活用されることも予想されます。実際、そうした動きはすでにかなり進んでいるとも言われています。
日本に憧れる中国人が増えること自体は結構なことですが、マナーをわきまえてもらわなければ、行き着く先は礼儀も節度もない、「観光地の中国化」ということになりかねません。
image by: plavevski / Shutterstock.com
『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
<<無料サンプルはこちら>>