「喉がイガイガするな」「喉に違和感があるな」と思ったとき、まず真っ先に風邪を疑う人は多いかと思います。でもその「イガイガ」、精神的なストレスが原因かもしれません。
なぜストレスが原因で喉が影響を受けるのでしょうか?
そのメカニズムと治療法をご紹介しましょう。
喉のイガイガの原因は「咽喉頭異常感」
人によって違いはありますが、一般的に、喉の違和感について、圧迫感がある、イガイガする、ヒリヒリする、ザラザラする、刺すような痛みがある、球が上がったり下がったりする様な感じがある、などと表現されることが多いようです。このような喉の違和感や不快感を総称したもの「咽喉頭異常感」と言います。
「咽喉頭異常感」の原因としては、喉や口、頸部などの局所的な疾患によるもの、更年期障害や内分泌異常などの全身的な疾患によるもの、そしてうつ病や自律神経失調症などのストレスによるものが考えられます。この原因となる疾患を特定するために、病院では、問診、視診、触診、採血、頸部超音波検査、頸部CT・MRI、胃内視鏡検査(胃カメラ)など、さまざまな検査が行われます。
検査結果によって原因となる疾患が分かると、それに応じた治療が行われます。しかし、なかには原因となる疾患が見つからない人もいます。そのようなはっきりとした疾患が特定されない場合、「咽喉頭異常感症」という病名がつけられ、ヒステリー球とも呼ばれていますが、精神的なストレスによる可能性が疑われます。
どうしてストレスが影響する?
では、なぜストレスによって喉の症状が現れるのでしょうか?
そこには自律神経が関係しているようです。
自律神経とは、身体のさまざまな器官の活動を調整するために絶えず働いている神経で、活動時や昼間に活発に働く交感神経と、リラックス時や睡眠時に主に働く副交感神経があります。通常はこの2つの神経がバランスよく働きますが、緊張時や不安時など、強いストレスを受けると、このバランスが乱れてさまざまな不調をきたします。
喉もその影響を受ける器官のひとつです。交感神経にはいろいろな作用がありますが、そのひとつに喉を収縮させたり、唾液を減少させるという働きがあります。そのため、強いストレスによって自律神経が影響を受けると、喉の筋肉が収縮して硬くなり、違和感や不快感をもたらします。
特徴的な症状は?治療法はあるの?
症状
唾を飲み込むときなど、嚥下運動を行った時に感じることが多く、反対に水分などの液体を飲んだときには感じません。
更年期障害や甲状腺疾患との関連で30~50代の女性に多く、神経質な人やがんの恐怖などを持っているような人に出やすいと言われています。
治療法
まずは、さまざまな検査を行い、身体に異常がないことを確認します。がんへの恐怖などが原因となっている人もいるため、身体に問題がないことが分かるだけで、症状が改善することもあります。その後は経過観察をしますが、喉に意識を集中させ過ぎないことが大切です。また、カウンセリングを行うこともあります。
有効な漢方薬:半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
半夏厚朴湯は、抑うつ状態で、咽喉、食道部に異物感(違和感)がある場合、また、パニック障害、更年期障害、睡眠障害などに有効です。
風邪の症状が改善したにもかかわらず、喉のイガイガが治らないという方は、一度耳鼻科で相談してみましょう。原因がはっきりすることで安心し、症状が改善するかもしれません。
執筆者:井上愛子(保健師)
監修医:坂本忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)
参考:
「咽喉頭異常感症」econet.jp
「のどのつまり・違和感」ココカラ
「自律神経の乱れ」タケダ健康サイト
広島ドクターズ
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