もらう側にとっては一番の喜び。でも、払う側にとっては一番の苦しみかもしれないのが「ボーナス」ですよね。まして、当の本人がもう退職していたら…? メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、退職済み、解雇済み、定年退職済み、それぞれのケースでボーナスをもらえるのか? それとももらえないのか? を、過去の判例を検証しながら解説しています。
退職している社員に賞与を支払う必要があるのか
飲み会の次の日に悔しい思いをすることがあります。それは、私が1次会だけで帰ってしまって「あの後の2次会がすごく盛り上がったんだよ!」と、言われたときです。もしかしたら、みなさんも同じような経験があるのではないでしょうか。
2次会に参加すべきかどうかは賛否両論あります。
※ご参考:「2次会は出るな!」 中村繁夫・著/フォレスト出版
また、自分は参加したくなくても、仕事の関係などで(意思とは関係なく)半強制的に参加させられることもあるでしょう。ただ、自分の意思で参加しないでおいて次の日に楽しかったことを聞かされるととても悔しいですよね。
このように、その場にいたかいないかで明暗が分かれることが、賞与についても言えます。みなさんの会社でも賞与の査定期間というのが決められていると思います。例えば7月の賞与であれば、1~6月の期間の査定で決める、などです。
では、1~6月の期間に在籍していて7月の賞与の支給日にすでに退職している社員には賞与を支給しなくてはいけないのか?それに対する裁判があります。
ある金融の会社で、査定期間には在籍していたのに支給日に退職していたからといって賞与がもらえないのはおかしいと、社員が会社を訴えました。では、この裁判はどうなったか?
社員が負けました。裁判で「支給日に在籍していないのであれば支払う必要はない」と認められたのです。これは、ある新聞社の裁判でも同じような結果になっています。
ただし、それが認められるには就業規則に明記されているか、ずっと以前から慣行として行われていることが前提です(「退職している社員には払いたくない!」だけでは認められないということですね)。
では、自分の意思では退職日を選べない会社都合による整理解雇の場合や、定年退職の場合はどうか?
前者の整理解雇の場合は、社員の不利益も大きいため問題になるでしょう。ただ、後者の定年退職の場合は賞与を支給しないことが認められた裁判があります(ただし、その内容が就業規則にも明記されてました)。
では、さらに細かい例として賞与の支給予定日には在籍していて実際の賞与の支給日には退職している場合はどうか? これは、裁判では賞与の支払いが命じられています。
このように、賞与は査定期間と支給日の時期が離れていることが通常なのでいろいろなケースが考えられます。事前にきちんとルールを決めておき、トラブルにならないようにしたいですね(賞与は額も大きいのでトラブルになりやすいですからね)。
ただ、個人的な意見ではありますが、定年退職については支給対象にしても良いのではないでしょうか(みなさんの会社でも対象にしているところもあると思いますが)。長年、会社に尽くしてくれた社員に対し最後がそれでは少し寂しい気もします。もちろんそれはみなさん次第ですが。
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