日頃のストレスがMAXになった時、どのように発散していますか? 泥酔するまでお酒を飲む、カラオケで大声を出す、甘い物を死ぬほど食べるなど、その人それぞれの解消法があると思います。ですがちょっと気をつけて下さい、度を超すと大変なことになるようです。メルマガ『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』の著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、依存症の怖さについてお話ししてくださいました。
依存でストレスは減る?
さて、依存症。
実際に何かにハマっている人に、「どうしてそれを続けるの?」と言うと、たいていの人はこう言います。
「それがない人生なんて考えられない!」
「それがあるから、俺は幸せなんだ!」
「これを失ったら、生きている意味がない…!」
ここまで!?
と思いますが、でも多くの人が答えるセリフです。
ここには「ドーパミン」が関わっています。
ドーパミンは快感を司るホルモン。たとえ何かで成功したり、うまく行ったり、楽しかったりすると、ドーパミンが出るわけですね。そしてこれは、何かの依存対象に接したときも、分泌されます。
お酒を飲んだとき。
タバコを吸ったとき。
ギャンブルをしたとき。
ネットをしたとき。
何でも構いません。
あなたが「やめられない」ものがあるのなら、そのときにドーパミンが出ているのです。多くの方が「それがない人生なんて、つまらない」と感じるのも、それが原因なのですね。
しかし、本当にそれは快感なのでしょうか。ドーパミンは、依存対象に接するだけで、無制限に出てくるものなのでしょうか。
実はここには、ワナが存在するのです。
ドーパミンは、放出されたあと、ドーパミン受容体にくっつくことで効力を発揮します。
しかし、あまりに頻回に出されすぎていると、ドーパミン受容体の数が減ったり、感受性が減ったりしてきます。
またドーパミンそのものも、放出されづらくなってしまいます。結果的に、どんどん「効きづらく」なってしまうのですね。良くも悪くも「飽きる」わけです。
これは人間にとって重要なことで、この「飽き」があるからこそ、人は色々な行動をとり続けたり、新たなものを発見したり、発明したりできます。
一つの生活に飽きて、冒険をすることで、新たな土地を見つけられるかもしれません。ある土地の食べ物が完全になくなって、危機感を抱いてからでは遅いので、ある程度余裕のあるときに、そういうチャレンジを行うことは、何より重要なの
ですね。
とにかく「飽きる」ことは、意外に大切なのです。
ただその飽きたときに、その快感が忘れられないと、さらに量を増やしてしまうこともあります。
そうすると、ドーパミンはまた多く分泌されますので、同じだけの快感を得ることができます。しかしそれにもまた慣れが来て、さらに多くの依存行動を必要とします。
これを繰り返すことで、どんどん量は増えてしまい、体へのダメージなどもさらに蓄積されたり、より多くの時間を必要としてしまうのです。
実際に、どんな人も食虫植物の坂の上にいます。
誰もがどんどんハマりこむ可能性があります。しかしながら、他にドーパミンを出す対象がない人や、日常的にストレスを受けやすく不安定な人の場合、よりその依存対象にハマりやすい可能性はあります。
何にせよ、どんどんドーパミンが「効きづらく」なることにより、さらに依存対象に接する量や回数は増え、次第に食虫植物の内側へと入り込んでしまうわけですね。
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