金、愛人、精力剤までお供え。中国人のオドロキお墓参り事情

shutterstock_245002684 copy
 

そろそろ春のお彼岸の季節です、今年は3月17日から23日までとか。お花とお線香をもって、おじいちゃんの好きだったタバコの一本でも供えようか…日本人のお墓参りはだいたい似た感じですよね。ところがお隣の国・中国は違います! ご先祖様が窒息してしまいそうなほどの供物を供えたら、もちろん相応の見返りをいただきます。そんな中国のビックリ先祖供養について、無料メルマガ『石平(せきへい)のチャイナウォッチ』の著者で誰よりも中国を知る男・石平(せき・へい)さんが語って下さいました。

先祖への供物に映る中国人の価値観「腐敗は永遠に不滅」

毎年4月に中国では清明節がある。古くからの祭日で先祖の墓参りをする日だ。

「文革」の時代、それは「封建的迷信」として禁じられていたが、今や「民族の伝統」として復活し盛んになっている。

日本の場合、お盆などで先祖の墓参りをするときはを持っていくのが普通だが、中国では事情が違う。

銅銭をかたどった紙の「冥銭(めいせん)」を先祖の墓に持ってゆき、燃やすという昔からの習わしがある。先祖があの世でお金に困らないための供えだ。今は冥銭もかなり進化して、額面の高い「人民元」や「米ドル」の市販品が主流となっている。

今年の清明節、「人民元百億元」の冥銭があちこちで「発行」され、「9800億元」のモノまで出回っている。
日本円にして約19兆円の額面だが、それを「額面通り」に受け取れれば、ご先祖様(さま)は一気に冥府一の大金持ちとなろう。

こうした巨額の冥銭に負けないように、「冥府専用のクレジットカード」を作って販売する業者もある。利用金額無制限のゴールデンカードで、先祖はそれを手に入れれば、冥府での「大富豪生活」を永遠に楽しめるわけだ。

冥府での「良い生活」に必要な「贅沢(ぜいたく)」を供え物として持っていく人も多い。もちろん全ては紙の作り物であるが、最新鋭のiPhoneから運転手付きの外車(模型)まで何でもある。

美女の紙人形の背中に「愛人」と書いて先祖に供える人もいる。その際、先祖への心遣いから精力剤の「引換券」を添えるのは普通である。

高級別荘の紙模型も供え物として大人気である。

大抵はプール付きの豪邸で、中には男女の使用人や愛人の「第2号、第3号」の紙人形がきちんと備えられている。先祖は別荘の中で「酒池肉林」の生活を楽しめる。

このように墓参りをする今の中国人たちは、花の一束で先祖への気持ちを伝えればよいとは考えていない。

ご先祖様を喜ばせるためには、お金はもちろんのこと、高級外車も豪邸の別荘も美女の愛人も必要だと彼らが思っている。もちろんそれは、墓参りをする人々自身の欲望の反映であり、現世における彼ら自身の価値観の投影でもある。

生きている人たちはお金や高級外車、美女の愛人、豪邸の別荘を何よりも欲しがっているからこそ、それらのモノに最高の価値があると思っているからこそ、先祖への感謝の気持ちを込めてこのような供えをしているのであろう。

赤裸々な欲望を満足させるモノに最高の価値がある。これは今の中国人の「普遍的な価値観」なのである。

print
いま読まれてます

  • 金、愛人、精力剤までお供え。中国人のオドロキお墓参り事情
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け