真田丸『第8話』解説。北条家の「汁かけ飯」は京都風の味付けだった?

2016.02.28
by sakky(まぐまぐ編集部)
8回目
 

 NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、細かすぎる北条家の軍政・行政システムについて補足解説しています。北条家といえば「汁かけ芸」も有名ですが、その味付けは京都風だったのだとか?

今回のワンポイント解説(真田丸:2月28日放送分)

今回の注目ポイントは、ほんの小ネタ。小諸城内にいる北条軍の兵たちが、鉄砲を仕分けして台帳に記録しているのに気付いたかな? 実はコレ、僕からお願いして入れてもらったシーン。

北条家の軍政・行政システムは、合理主義をモットーとする官僚制に支えられているから、彼らは台帳を付けながら数字で管理するのが大好き。部隊ごと、城ごとに、武器の種類と数量を書き上げたリストを作ったりしている。この時期の北条家の動きがドラマできちんと描かれるのは珍しいので、北条軍らしさを演出する小ネタとして加えてもらった。

まあ、このあたりの話に興味のある人は、拙著『戦国の軍隊』(学研パブリッシング 2012)を読んでみてほしい。こんなふうに書くと、「また宣伝かよ」って言われてしまいそう(笑)。でも、僕の『「城取り」の軍事学』(学研パブリッシング 2013)や、『東国武将たちの戦国史』(河出書房新社 2015)を 読んでいる人たちは、『真田丸』をひと味違った楽しみ方で見ていられると思う。

そんなわけで、これからも『真田丸』鑑賞の副読本を紹介するつもりで、時々宣伝を入れさせてもらうけど、懲りずにお付き合い下さいな。

ちなみに、気付いた人も多いと思うけれど、今回、海津城として映っていたのは茨城県の逆井(さかさい)城。前回登場した木曽福島城は撮影用のセット。実際の福島城は本格的な山城で、山の上には殿舎を置くスペースはないので、義昌が住んだり、おとり達が軟禁されていたのは山麓の屋敷だろう。(西股総生)

今週のワンポイントイラスト 

毎回汁かけ飯がネタにされてしまう北条氏政。セレブなお方なので、いわゆるねこまんまではなく京都風の味付けだったかもしれません。(みかめ)

初代の伊勢宗瑞が幕府の高級官僚出身である事、氏綱以降も京都とのパイプを維持している事、関東にはない京都風の精製カワラケが小田原城で出土する事等から見て、北条家の味付けは京都風だった可能性が高い(西股談)

 

文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)

ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組

 

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