多くの大学生の命を奪い、ニュースでも大きく取り上げられた軽井沢スキーバス転落事故。格安なのにも理由があるのだと思い知らされた事故でした。欧米でも低運賃の長距離バスはありますが、その低賃金の理由や安全対策など、日本のバスとは何が異なるのでしょうか。メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』では、そんな質問に高城剛さんが詳しく回答しています。
欧米の長距離バス。低運賃のからくりや安全対策は?
Question
先日、軽井沢行きのスキーツアーバスで事故があり、多数の大学生が亡くなりました。運行運賃に最低料金が設けられていることを初めて知りました。
欧米において、Bolt BusやFlix Busなどの長距離バスを利用したことがあります。LCCよりも安く数百円から数千円ですが、キャンペーン運賃では1ドルや1ユーロも設定されています。
低運賃のカラクリや安全対策はどうなっているのでしょうか?
日本のバスとは何が異なるのでしょうか?
欧米では無料でWifiが使えたり、快適さの次元が日本とは異なります。
路線バスを含めても欧米のドライバーの方が運転がうまいことが多いです。
LCCは高城さんのブログか書籍によって多くの日本人よりも早く知ることができ、非常に驚いたのでバスについてもご存知ではないかと思い、質問致しました。
高城剛さんの回答
欧米と言われるほとんどの先進国では、それなりに公平な競争制度があり、日本の新幹線や官僚天下り航空会社による寡占状態は、違法とされています。
それにより、鉄道、LCC、バスの移動異業種価格競争が起き、この15年ほどユーザーは多くの恩恵を受けると当時に、あわせて移動する人が爆発的に増え、民間レベルの国際交流も活発になりました。
この価格競争の最強のツールが、乗車予測です。
飛行機もバスも常に満員ではなく、必ず空きやシーズンによって偏りが出るものです。
それを過去データを参照し事前に乗車予測し、空きが出そうなら、早めに安価に販売してしまい、逆に空きが少ないことが予測できれば、価格を上げて販売します。
市場が競争に基づいていますので、各社このシステムに多大な投資をし、それが時によっては驚くべき安価なチケットとなるのです。
ここには多分に心理学要素(実際は脳科学)とゲーム理論が含まれます。
また、安全対策に関しましては、特に欧州では日本以上に最低賃金や労働者を休ませることが法律で徹底されています。
事故のほとんどがヒューマンエラーですので、この点では日本より安全対策がなされているといえるでしょう。
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『高城未来研究所「Future Report」』
著者:高城 剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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