日本からのインドへの渡航者数は年々増加傾向にあります。2001年には80,634人だったのに対して、2010年は約16万8千人、2014年には約21万9千人と年々増加傾向にあります。地理的に日本よりも近い中国からは11万9千人、韓国からは9万5千人(2010年度)と比べてもかなりの差があります。そして、2016年3月1日より、現地でビザ取得が可能になったアライバルビザが開始がされることになりました。これまで面倒だったビザの手続きが容易になり、観光客の増加が期待されています。
ストレスフリーなアライバルビザが開始
観光とビジネス目的でインドを訪れる日本人に対して、2016年3月1日よりアライバルビザ(visa-on-arrival)が開始されます。
ビザの取得が必要な国の場合、事前に大使館や領事館でビザを取得する必要がありましたが、このアライバルビザはあらかじめビザを取得しなくても、現地についてからその場で発行してもらえるビザのこと。
代理店などに頼まず、自分で観光ビザやビジネスビザを取得したことがある人ならわかると思いますが、インドのビザ取得はこれまで「面倒くさくて、わかりづらい」と巷で酷評されていました。
例えば、オンライン申請書で1文字だけ間違えても、初めから入力をやり直すように言い渡されたり、申請して数日後にビザがもらえるので再度訪問しなくてはならなかったりと、とにかく面倒そのものでした。
文化も習慣も日本とはかなり違うインドですが、「インドへの旅はビザを取るところから始まる」といわれるほど。
その煩わしさがアライバルビザの開始によって、一気にラクになります。
The Hinduによると、現在このアライバルビザは日本人だけに有効ですが、韓国人にも広げる予定とのこと。
このビザは30日間有効です。
実は、以前も日本を含めた12カ国向けにインドのアライバルビザがありましたが、ビザのスタンプを押してもらうまでに長い時間を待たせるなどうまくいかず、2014年11月に廃止された経緯があります。
その時はカンボジア、フィンランド、インドネシア、ラオスなどの12カ国がアライバルビザを利用していました。
タイム・オブ・インディアは、インドの内務省の担当者のコメントを紹介しています。
「以前は最低1時間はかかる面倒な手続きをしなければならず、ビザ申請書の記入に苦労したあとは現金で支払いをしなければなりませんでした。その後、入国審査官が生体認証をして、ブラックリストに名前が入っていないかを確認するという長い手続きでした」。
しかし、そのような面倒な手続きは日本人の観光客やビジネスマンにはもう必要なくなるそうです。
また「インド政府は短い、簡単な申請書を作成中で、いま最終段階に入っています。インドへ着陸する前に、機内でその申請書が日本人に配られます。またビザ費用のクレジットカード払いも検討しています」と担当者は話しています。
ビザが容易になった背景に、日印の友好関係が存在
この日本人向けのアライバルビザが開始される背景には日印関係が影響しています。
2015年12月に行われた日本とインドの首脳会談は記憶に新しいところですが、ニューデリーを訪れた安倍首相はモディ首相に歓迎ムードで迎えられました。
外務省の報告によると、モディ首相は「日印関係は一段上のレベルに上がっている。強いインドと日本はお互いにとって重要であり、その友好関係はアジア全体に大きな影響を及ぼす」と述べ、安倍首相は「日印関係は『世界で最も可能性を秘めた二国間関係』であり、モディ首相と協力して、日印関係を可能性のつぼみから、現実に開花させて咲き誇る関係にして、日印新時代の幕開けを迎えたい」と、日印関係の絆を強調しました。
ツイッターのアクティブユーザーでもあるモディ首相は、ツイッター上でも安倍首相に日印の関係を強くアピール。
ツイッターのアクティブユーザーでもあるモディ首相は、ツイッター上でも安倍首相に日印の関係を強くアピール。
「インドは偉大な友人であり、指導者である安倍首相を大歓迎します。彼の訪問は日印関係をより深めるでしょう」
「安倍首相、ようこそインドへ。あなたの訪問は日印の絆に新たな強さと活気を与えてくれます」
image by:モディ首相の個人ツイッターアカウント(@narendramodi)
そして、この首脳会談によって、アライバルビザが復活することになり、モディ首相の公式ツイッターで発表されました。
image by: 公式ツイッターアカウント(@PMOIndia)
先日も、インドは日本の新幹線の方式を導入するなど、経済面で日印関係が強まっていますが、このアライバルビザの導入によって、日本からインドへ行き来する旅行者が増えそうですね。また、インドから日本への観光客へのビザ取得の緩和も発表されていますので、今後は文化面での交流が大きくなりそうです。
Image by: Wikipedia
Source by: タイム・オブ・インディア, 外務省, The Hindu
文/MAG2 NEWS編集部