なにが米議会を熱狂させたのか? 安倍首相演説の全文を徹底分析

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「安倍演説は、『歴史的』であった」。総理の米議会での演説をこう絶賛するのは、人気の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』著者で国際関係アナリストの北野幸伯さん。どこがどう「歴史的」だったのでしょうか。微に入り細を穿つが如く分析をお読みください!

安倍総理の米議会演説は、成功か? 失敗か?

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

皆さんご存知のように、安倍総理は4月29日、アメリカ上下両院合同会議で演説しました。これについて「賛否両論」でているようですが、どうなのでしょうか?

まず「背景」を把握しよう

どんな話をするにも、まず背景を知っておくことが大事です。

日本はどんな状況なのか?

アメリカはどんな状況なのか?

世界はどんな状況なのか?

08年、リーマンショックから「100年に1度の経済危機」が起こりました。これ、本当に「1929年からの世界恐慌」に匹敵する危機だったのです。しかし、人類は1929年当時より賢くなっていたので、前回ほどの悲劇は起こりませんでした。

世界の大国は、軒並み大幅なマイナス成長になった。その中で、中国だけは、09年9.2%、10年10.4%、11年9.3%の成長を果たし、まさに「ひとり勝ち状態」になりました(正確にいうと、インドも勝ち組)。これが、中国を「増長」させます。

「アメリカは没落した。わが国は、これから自由に国益を追求できる!」

と確信したのです。

2010年9月、尖閣中国漁船衝突事件が起こりました。これをきっかけに、中国は「尖閣はわが国『固有の領土』であり、『核心的利益』である!!」と全世界に宣言します(中国の領土要求は、1970年代はじめからあったが、大声で騒いではいなかった)。日本も対抗措置をとらざるをえず、2012年9月、政府は尖閣を「国有化」しました。これに激怒し、中国では超大規模な「反日デモ」が起こったのです。

問題はこの後です。中国は、どうやって日本に逆襲するのか?尖閣国有化から2ヵ月後、中国の代表団が、(事実上の)同盟国ロシアの首都モスクワにやってきました。そして、「中国、ロシア、韓国、【アメリカ】で、【反日統一共同戦線】をつくろう!」と提案したのです。

ポイントは、「【アメリカ】も反日統一共同戦線に引き入れる」と宣言したことです。

「トンデモ、トンデモ、トンデモ~~~」

そんなあなたの声が聞こえます。しかし、これは絶対証拠つきの事実です。

疑っている方は、ぜひこちらを熟読してください。

そして、ずる賢い中国は、この戦略を成就させるために、全世界で大々的な「反日プロパガンダ」をはじめました。

韓国は、中国の先陣を喜んでつとめています。ここ2~3年、「慰安婦問題」が大騒ぎになっていますね。これも要するに、中国の「反日統一共同戦線構築戦略」の一環なのです。

中国が罠をしかけたことを知らない安倍総理。2013年12月26日、靖国を参拝しました。

すると、中韓だけでなく、アメリカ、イギリス、EU、ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などなど、それこそ全世界から非難されたのです。日本政府は、中国の対日戦略を知らないので、「なんでそうなるの??」とわけがわからなかった。だって、「小泉総理は在任中6回靖国を参拝したのに、騒いだのは中韓だけだったじゃないか????」と。

特にアメリカの怒りはすさまじく、ブルームバーグは、「尊大な安倍を懲罰せよ!」などと主張していた。

中国の戦略は、まさに成功しつつあった。

>>次ページ 安倍総理に吹いたふたつの「神風」とは?

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