NHK朝ドラ「マッサン」の影響で国産ウイスキーが再評価されていますが、海外でもここ数年、日本のウイスキーが国際的な賞を相次いで受賞し、国内外から熱い視線が注がれています。そんな世界が絶賛する日本のウイスキーですが、あまりの品薄で本場・英国人もキレ気味なんだとか。
「ロンドンに上陸したのは198本だけ?」ファンの怒り
英インディペンデントの記事によると、サントリーが2000本の「山崎シェリーカスク2016」をヨーロッパへ輸出したのですが、そのうちロンドンに入ってきたのは198本だけ。イギリスの高級百貨店セルフフリッジスでもすでに売り切れとなり、それに対しサントリーが以下のコメントを発表しました。
「このウイスキーはお客様が購入できるよう公平に配給しましたが、私どもはこの限定製品をどのように売るのかを小売り業者に指図することはできないのです。ロンドン市内のトップバーでもご提供させていただく予定なので、そちらでお楽しみ頂けます」。
これに対してあるファンはご立腹気味。
マンチェスター出身のウイスキー愛好者は今回の少量の割り当てに文句を言っています。
「昨日セルフフリッジスとハーヴェ・ニコルスの両方のデパートに電話したのだが、どちらもすでに売り切れたと言っていた。こんなの茶番だ。もっと多くの人たちが楽しめるように2013年バージョンよりもたくさんのウイスキーを生産したと聞いていたのに、現実はこんな状態。それに僕はロンドンのバーまでなかなかいけない。交通費などを考えたら上質なスコッチを家で楽しむよ」と嘆いています。
この他にも、ツイッター上では「Royal Mile Whiskiesっていう業者が英国に上陸した山崎シェリーカスク2016を6本も買い占めて、今朝その6本が売り切れちゃったよー。それも10秒で」と悲しい絵文字とともにツイートしたユーザーもいれば、「誰かどこで買えるのか教えてくれない?」とまだあきらめずに買い求めるようとするユーザーもいました。
image by: Twitter
この騒動に対して、他のユーザーの反応も色々です。
「オーマイゴッド!2000本中、たったの198本だって? ロンドンは地球の真ん中だよ。他のヨーロッパの都市がこのウイスキーを得る価値はあるのか? ロンドン以外の英国の都市は1本も買うことができないの? スコットランドは? ウイスキーで有名なエディンバラも購入できないなんて!」
「上質なウィスキーを敬う人たちに対して何本のボトルが売られたのだろう? そして、高いから買っておくべきだよと言われた人たちに対して売られた数は何本なのだろう?」
「スコットランドはビビる必要はない。この山崎シングルモルトに」
「楽しみにしていた人たちにとってはハートブレイキングな出来事」
「コーラと氷をいれたら、ウイスキーなんてみんな同じさ」
ちなみにこれと同じものは日本でも1,500本限定で発売されたようです。
サントリーのサイトによると、「スパニッシュオーク製のシェリー樽で熟成を深めたモルト原酒だけを厳選し、ヴァッティングを重ねた稀少な逸品」だそうで、お値段は38,880円。
高い!
いま日本のウイスキーが世界でブーム
それにしても、英国のファンがキレるほど、なぜ日本のウイスキーは人気があるのでしょうか?
2001年に英ウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」が主催したコンテストで、ニッカウヰスキーの「ニッカシングルカスク余市10年」がトップに輝き、2003年には世界でも権威ある酒類国際コンテスト「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」にて、サントリーの「山崎12年」が日本初のウイスキー部門の金賞に輝きました。
そして最近Drinks Internationalが発表した「世界トップ50のバー」のウイスキー部門の売り上げには、なんと1位にニッカ(ニッカウヰスキー)が輝きました。
驚くことに、2位のアイルランドのジェムソン以降は、3位「山崎」(サントリー)、4位「響」(サントリー)、5位「白州」(サントリー)とサントリーのウイスキーが連続でランクインしています。
そして2015年には世界で最も権威のある賞として有名な「ワールド・ウイスキー・バイブル」が選ぶ世界最高のウイスキーにサントリーの「山崎シェリーカスク2013」が本場スコットランドを押しのけて1位になりました。
image by: サントリーウイスキー蒸留所ブログ
英テレグラフでは、ウイスキーの著名な専門家であるジム・マーリー氏がこれに100点満点中で97.5点をつけ、「言葉ではいい表せないほどの非凡さ」と高く評価したと報じています。
この受賞で「日本のウイスキーはすごい」という認識が海外で一気に高まり、日本のウイスキーが遂に頂点を極めました。
今や日本のウイスキーは名だたる世界のバーに愛されはじめ、世界のウイスキー市場を席巻中です。
今後も日本産ウイスキーの活躍は続きそうですね。
Image by: Shutterstock
Source by: 英テレグラフ, Drinks International, 英インディペンデント
文/MAG2 NEWS編集部