理想的な雑談の定義とは?
ビジネスシーンにおける人脈作りにおいて、決して欠かせない能力のひとつがトークスキル。特に、相手との距離を縮めるためには、話の本題とは関係のない「雑談」も、ソツなくこなすことが求められるのは、言うまでもあり ません。
『どんな相手でも会話に困らない1分間雑談法』(石井貴士・著 SBクリエイティブ)は、そんな“雑談スキル”をアップさせるための、さまざまなノ ウハウを紹介する一冊。
テレビ局のアナウンサーを若くして退職した後、心理カウンセラーに転身し 、現在ではセミナー講師として各地から引っ張りだこという、異色の経歴を持つ著者の石井氏は、理想的な雑談の定義として、「関係ない話をすること 」と「意味のない話をすること」の2つを挙げています。
関係ない話をすること
ちょっとしたのツカミとして「今日はどこに行くんですか?」と聞くことは、ありがちだと思うのですが、これはNGとのこと。話し相手のプライバシーに“関係ある”話は、“詮索しないでほしい”と相手が身構えてしまうから です。
雑談では、あなたにとって関係のない話を「ネタ」にします。それだけでなく、相手にとっても、関係のない話をするのです。
意味のない話をすること
「相手にタメになることを言ってあげよう」と、正論ばかりを話すのも、これまたNG。距離感が遠い相手には、ただただ嫌がられるだけで、仲を深める という意味では逆効果なんだとか。
いかに役立たないことを言うかが、雑談ネタです。
役に立つ情報を提供すると、本題になってしまいます。
お互いに関係のない話題で、それでいて意味のない話題でトークを繋いでいく。それによって相手の緊張がほぐれ、距離感が縮まっていくと、石井氏は語ります。
雑談で1分間持たせるための4つのポイント
本書の目的は、読者が最低でも1分間は雑談で会話を持たせられるようにすることである、と語る石井氏。
そんな氏が推奨している、相手との距離感を縮めるための「1分間雑談法」 では、その際に守るべきルールとして、先に紹介した雑談の定義である「関係ない話をすること」「意味のない話をすること」にくわえ、「相手の話を真に受けない」「相手の話を「判断」しない」という、4つのポイントが紹介されています。
相手の話を真に受けない
これは要するに、相手の話した言葉の字面通りに理解するのではないということ。
「最近、野菜が高いのよね」と妻が言った場合は、
①本当に野菜が高くて困っているので、安いお店はどこか知りたい
②何も考えず、適当に野菜が高いと言っているだけ
の2通りがあります。
9割がた、「②」の場合なので、まともに取り合わない方が、会話が盛り上がります。
人の話をしっかり聞きなさいと、子どものころによく叱られた方は多いと思いますが、雑談というシーンにおいては、相手の話をしっかり聞いて真っ当な答えを返すのではなく、話半分で受け流すのが正解なのです。
相手の話を聞かないで、会話のラリーの回数を多くしたほうが、結局のところ、距離感を縮めることには成功するのです。
相手の話を「判断」しない
これはつまり、“自分の好み”を表明しない方が良い、ということ。
好き嫌いを言った瞬間に、相手と違う可能性が生まれてしまいます。
雑談のゴールは、あくまでも相手との距離感を縮めること。決してディスカッションをすることではないということを、肝に銘じるべきと語る石井氏。相手を言い負かしたところで、嫌われてしまったら、それは雑談としては失敗なのです。