圧倒的ボリューム! 悪魔が乱れ食いする沖縄の「絶品豚肉料理」たち

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南国・沖縄で2016年の年越しを迎えた、『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと大魔王ポルポルさん。那覇で卵焼き入りの沖縄そばを味わった後に向かったのは、沖縄本島の北部に位置する名護。地元民が愛する名店のソーキそば、そして骨つきの豚肉を豪快に煮込んだ「てびち」の気になるお味は?

隠れた名店の「ソーキそば」&豪快「てびち煮」

大魔王ポルポルは沖縄を一人で歩いていた。お正月も魔界には帰らず、沖縄の街をひたすら彷徨い続けていたのだ。

しかし、1週間誰とも会わなければ、大魔王とはいえ少し寂しくなる。そこで「少しでも現地の人と交流する」という名目で、ヒッチハイクで名護市へ向かおうとしていた。

しかし、魔族を乗せようというクルマはなかなか現れない。……そもそも大魔王は、ヒッチハイクをしたことがないので、どうすればいいのか分からなかったのだ。

「がッハッハッハ!! なぜ、我輩と痛快なドライブを行おうっていうニンゲンは現れないのだ。ニンゲンごときが!!」

お腹がぺコペコの大魔王は、ひたすらクルマに声をかけていた。しかし、クルマは窓すら開けてくれない。米軍基地がある沖縄では、真っ白な顔に額に“魔”な大魔王に良いイメージがないようで、下手をするとテロリストと思われてもおかしくない。

「ガッハッハッハッハ!! 我輩と……」

そうやって声を掛ける大魔王だが、誰も目を合わせてくれない

「ちっ!! 早く窓を開けるのだ!! 我輩は優しき魔族であるぞ!! がッハッハッハッハ!!」

そんな風に2時間以上も声を掛け続けたものの、一向に応じてくれる運転手はいない。大魔王は業を煮やし、ついに

「すみません……ちょっと乗せていただけませんか」

と、ある車に頭を下げ、申し訳なさそうに話した。すると、そのクルマの運転手は窓を開けてくれた。

「あのぅ、もしよければ、名護市まで乗せていただけませんか?」

大魔王が低姿勢で運転手にお願いすると、運転手は二つ返事であっさりと乗せてくれた。

「時間を割いて車を動かしてくれる。ガッハッハッハ!!」

思わず感動してしまい、涙が出てきそうになる大魔王。運転手は、そんな大魔王に対して「キミどこから来たの?」「何してるの?」と、質問攻めにした。

それに対し「魔界から来た」「1億と25歳だ!」などと、上機嫌に答える大魔王。すると運転手は、突然こう言いだした。

「魔界から来たんだったら、沖縄のイイ場所へ連れて行ってあげるよ。」

「ガッハッハッハ!! ……え、ど……どこですか?

大魔王は怖さを抑えながら聞き返した。このまま、どこかに売り飛ばされるのではないか……。大魔王は恐怖と不安を胸に、クルマに揺られていた。

 

クルマに乗ってから40分が経った。

大魔王ポルポルがコッソリとグーグルマップを見てみると、どうやら名護市の北側にある今帰仁村(なきじんそん)という場所まで連れて来られているようだ。聞けば、人があまり住んでいないヤンバルという地方で、密林が広がるジャングルとのこと。

(魔族は珍しいから、う……売られるのだ……)

一抹の不安がよぎる大魔王。しかしクルマが停まったのは、とある一軒のソーキそば屋さんの前だった。

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「きみ、お腹空いているだろ? ココは僕のおススメのお店だから」

どうやら運転手は、山の中にあるソーキそばの隠れた名店を教えてくれたようだった。……確かにココは、地元民でなければ分らなかっただろう。なんと優しきニンゲン……と、大魔王は感動した。

「がッハッハッハ!! な、なんだ。我輩を脅かそうとする作戦だったのか! だがしかし! 我輩はわかっていたがな。ふん!」

大魔王は、本当は怖がっていたことがバレないように、そそくさと店の中に入っていった。

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店の中は、なんとも伸び伸びとした空間が広がっていた。風鈴があり、1月だというのに夏のような光景だ。

奥の部屋に案内された大魔王は、さっそくソーキそばジューシーを注文した。ジューシーとは炊き込みご飯のことで、沖縄ではラーメンライスのような感覚で注文するらしい。ほどなくして、沖縄の食卓が大魔王の前に並んだ。

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「がッハッハッハ!! な、なんとも美味そうなソーキそばなのだ。ひと口で、我輩の全てを縛り付ける味なのだ。ガッハッハッハ!!」

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そのソーキそばの美味たる味わいに、大魔王は天にも登りそうな心地だった。そばの傍らに添えられているのは、大きな豚肉。沖縄では、豚肉を骨ごと出してくるから驚きだ。圧倒的な存在感を放つその大きな豚肉を、大魔王は奴隷にしたいと夢想した。

そんな大魔王がふと横のほうを見ると、「こーれーぐす」と書かれた調味料が置いてあった。これは沖縄独特の調味料で、泡盛と唐辛子でできているのだ。

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「なな、なんだ! この珍しい調味料は!?」

「これは、こーれーぐすですよ。魔王様、試してください。少し辛いですが……

広島の汁なし担々麺佐世保の護衛艦カレーで、辛いものが苦手なことが世間にバレてしまった大魔王。しかし、せっかく沖縄に来たということもあって、試しに3滴ほど入れてみることにした。

「くっ! こ、これは、辛い。……正直、苦手だ」

クセのある調味料で、ふんわりと泡盛の匂い。そしてツンとくる辛さ。

「がッハッハッハ!! こーれーぐすはムリだ。しかし、この魔界にはない、この大きな豚肉が気に入ったぞ。がッハッハッハ!!」

「そ……それは、良かったです」

一緒に食べていた運転手とともに店を出た大魔王。再び名護まで送ってもらい、そこで運転手とは別れたが、大魔王の頭の中には、まだ沖縄の豚肉のことでいっぱいだった。

「がッハッハッハ!! それにしても物足りぬ。我輩はもっと豚肉が食べたいのだ」

そう思い周りを見渡すと、魔族の本能なのか、偶然にも「ヤンバル食堂」という大きな看板を掲げた店を見つけた。

 

ソーキそばとジューシーを食べた直後だというのに、名護の街中で見つけたヤンバル食堂を“魔ンバル食堂”に変えてやると、意気揚々と店へと入っていく大魔王ポルポル。

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「いらっしゃーい」

「あのぅ、ココの豚肉料理で、おススメって何ですか?」

てびち煮だよ。コレは美味しいよ!」

大魔王は店員さんオススメの「てびち煮」を注文した。てびちとは豚足のことらしい。

「ガッハッハッハ!! てびち! 名前からしてまさに沖縄っぽい料理だ。コレは期待できるぞ。ガッハッハッハ!!」

いかにも沖縄料理っぽいネーミングに期待しつつ待っていると、大魔王の前に煮込まれた骨つきの豚肉がどんと乗った、摩訶不思議な料理が供された。まるで悪役がかぶりつきそうな、ちょっと不気味な料理……まさに魔族にふさわしい。

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「ガッハッハッハ!! 豪快だ! 骨つきの豚肉ではないか。さっそく喰らいつこう!!」

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そう言ってひと口かじると、柔らかな食感とともに、豚肉のジューシーさと少し甘辛い味わいのハーモニーが、大魔王の口の中に広がった。大魔王は骨に少々手こずりながらも、どんどんと食べ進めていく。

「これは美味しい……。しかし、なんと食べにくい料理なのだ! ……こんな料理、魔界にはないぞ! ガッハッハッハ!!」

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骨に苦心している大魔王の元に、店員が近づいてきた。どうやら旅人だと思ったのであろう。

「どこからきたのですか?」

「あっ。大阪です。コレ、美味しいですね。」

思わず素に戻ってしまったが、どうやら骨に悪戦苦闘していることは悟られずに済んだようだ。……大魔王はこうして30分ほどかかって、てびち煮を完食した。

「ガッハッハッハ!! 少し手こずったが、沖縄の豚肉は我輩の欲望を向上させる力があるようだ。特にてびちは、素晴らしい!」

沖縄の料理をすっかりと満喫した大魔王は、そうぶつくさと独り言を言いながら、再び歩き始めた。次なる目的地は与那国島……日本最西端だ。

 

DATA
かじまやー
住所:沖縄県国頭郡今帰仁村天底545
営業時間:11:00~17:00(なくなり次第閉店)
定休日:月曜日

 

ヤンバル食堂
住所:沖縄県名護市宮里3丁目573番地
営業時間:11:00~21:00

 

『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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