最近になって、産休や育休といった言葉が日本でもようやく日常的に聞かれるようになりました。しかし権利と平等の国アメリカは日本のはるか先を行っています。『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者である医学博士・しんコロさんが驚いた、産休を巡るアメリカの逞しい女性のエピソードをどうぞ。
入社3日目で産休
先日NY の友人の奥さんが就職をしたのですが、それがプチ仰天ファイルだったのでちょっと書いてみたいと思います。
奥さんは妊娠7ヶ月で、これから子育てでとても仕事などできないだろうという段階なのですが、それにも関わらず仕事に就いたのです。
ちなみに、アメリカでは仕事探しや就職活動の面接などで、自分が妊婦であることは言う必要はないし、雇用側もそれを質問すること自体が違法だそうです。妊娠をしているという事実が採用の基準に影響することは差別に繋がるからです。
また、アメリカでは年齢さえ履歴書に書く必要がありません。こちらも、年齢で採用基準が変わることも差別に繋がるからです。
こういったアメリカのシステムは僕はとても良いと思うし、特に女性にも優しいシステムだと思います。
ただ僕は、これから赤ちゃんが生まれたら仕事どころではなくなるのではないかと思い、その友人の奥さんのことを心配したのです。ところが、友人夫妻は全く違う考えでした。
赤ちゃんが生まれてからでは逆に仕事探しができないし、妊婦と明らかにバレてしまう体になる前に就職し、そしてすぐ産休に入れば産休の間も収入があるから助かる、という考え方だったのです。なるほど!
NYで生き抜くためのしたたかな処世術という感じです。そして奥さんは就職して3日目で産休を申請したのでした。法律上、雇用側はもちろん産休を拒否してはいけないし、もちろん解雇もしてもならないのです。
日本で新入社員が入社3日目で新入オリエンテーションも終わる前に産休を申請したら、もしかしたら職場環境に何かしらの波紋を呼びそうな気もしなくもありません。でもアメリカではそのようなことはなく、女性の権利が守られているのは良いことですね。
ただ、入社3日目で産休を申請するのは勇気がいるだろうなぁ、と驚いたプチ衝撃ファイルだったのでした。
ちなみに、奥さんは産休に加えてバケーションも取るつもりだったようですが、入社して3ヶ月は勤務しないとバケーションが取れないと不満げでした。日本人から見ると、世界の人たちは本当に逞しく生きているなぁと思ったのでした。
image by: Shutterstock