関ジャニ∞の大倉忠義の父が経営する焼き鳥チェーン店『鳥貴族』が、ロゴや内装、メニューに至るまでほぼすべてを真似られたとして『鳥二郎』に対して訴訟を起こしました。このように競合店を真似ることを業界内ではTTP(徹底的にパクる)というそうです。そんな外食業界の注目度大の訴訟について、『鳥貴族』社長と個人的な付き合いもあるステーキけんの社長が詳しく解説しています。
『鳥貴族』vs.『鳥二郎』
「鳥貴族」が『鳥貴族』を完全にパクった『鳥二郎』に対して6,050万円の損害賠償と看板や広告物の撤去を求めた訴訟を起こしました。
『鳥二郎』の運営会社である「秀インターワン」は、京都が本拠地の外食企業で、多業態で90店舗ちょっとを運営しています。この話は昨年の暮れにフードリンクニュースで取り上げられて知りました。
『鳥貴族』の大倉社長を存じ上げておりますが「似てようが似てまいが、お客様に支持してもらえる店が残ればいいんです」なんてことを言いそうな温厚な性格です。なのでこの裁判は株式上場も果たしたことで投資家からのプレッシャーだったのかなぁ、なんて推測します。
内容証明を送ったりはしてたのだろうけど「秀インターワン」社が全く応じなかったので裁判になったのでしょうが、裁判は時間もお金も手間もかかります。できることならやりたくありません。訴える方も訴えられる方も弁護士を付けるでしょうからコストがかかります。弁護士によって報酬規定は大いに異なりますが、強い弁護士はやはりそれなりの弁護士報酬を要求してきます。コスト優先で弱っちい弁護士に頼むと、まさかそんな和解案持ってくる? とか判決まで持ち込まれてサクッと負けてくれたりします。一旦判決で敗訴した場合に、上告審で巻き返すのは相当大変です。
さてこの度の裁判は外食業界において注目度は非常に高いです。確かに似てますが、全く同じではありません。『鳥貴族』が全品280円を売り文句にしているのに対し、『鳥二郎』じゃ全品270円をうたってますので、利用者側からすると、むしろ価格競争力では同社の方が上なのであります。「不正競争防止法を知りながら営業している」と『鳥貴族』は主張していますが裁判でそれを立証するのも困難かと思います。
どちらにしても訴えられた「秀インターワン」社は仮に勝訴したとしても弁護士の成功報酬が発生します。着手で10%、成功報酬で20%ぐらいを請求してくる弁士は多いです。6,050万円の訴訟ですから、勝訴したとしても1,800万円かかったりします。タイムチャージで1時間5万円とかそんな契約もありますが、判決が長引けば長引くほど弁護費用がかさんで行きます。
またコストの問題以外に従業員のモチベーションを維持するのが難しいですよね。周知の事実ですが『鳥貴族』の大倉社長のご子息は、関ジャニ∞の大倉君。ファンの有志が恐らく結束してネガティブキャンペーンとかやるんだろうな。そうなると『鳥二郎』だけじゃなくて他の店にまで影響が及ぶことになるだろうから、意地にならず撤退した方が私はいいと思います。新規採用するにも絶対にネガティブになると思うんだけどね。どうなんだろう。
僕はいわゆるあのような、パクり業態と世間に言われながらも一生懸命働ける人のモチベーションがどうも理解できないのでね。いずれにしても今後の動向に注目したいと思います。
『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 190号店より一部抜粋
【190号店の目次】
★ご挨拶
★レストラン訪問記
★井戸実コンシェルジュ
★『イヌオク』コラボ今週の物件!
★新コーナー!! 失敗の軌跡
★アーリーの失敗例から学ぶ Mr.Idoの成功哲学
★Q&Aコーナー
★物語 「チバカラス」
★最後に
著者/井戸実
神奈川県川崎市出身。寿司職人の修業を経て数社の会社を渡り歩く。2006年7月にステーキハンバーグ&サラダバーけんを開業。レストラン訪問記やQ&Aが充実のメルマガは毎週水曜配信。
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source: フードドリンクニュース