児童虐待は、現代の日本において非常に大きな社会問題の一つ。学校内での体罰は、人の目につく場所ということもあり、過去にくらべて減少傾向にありますが、人の目の届かない場所である家庭内の虐待は実態がつかみにくいのが現状です。現役教師の松尾英明さんは、自身のメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の中で、この家庭内の児童虐待を回避するための方法を紹介しています。
児童虐待と対策を考える
ずっと関心のあるテーマ「児童虐待と子育て」について。
いらいらして、つい叩いてしまったという経験のある親は多い。それが習慣化して、子どもだけでなく親も苦しんでいるケースも多いという。
児童虐待は、最も大きな社会問題の1つであると思う。2014年の厚生労働省のデータによると、日本の児童虐待の報告件数は8.9万件。24年連続で最多更新という。
数が増えたことについては、数え方の変化もあり、単純にどうこう言えない。報告件数が増えたというのは、ひどくなったというより、むしろ社会の問題意識が高まったと見る方が妥当である。
学校の体罰問題と同じで、件数増加自体が騒がれるが、実情としては確実に減っている。世論が湧き立つこのご時世に、学校という場で堂々と叩くというのは、よっぽどである。
ただ、児童虐待については、家庭という第三者のない密室が故に、非常に報告されにくい。それも考えると、やはり実際には未だ虐待が多いという印象は否めない。
よく言われる通り、虐待を受けた子どもはいずれ何らかの形で復讐をする。「叩いて(苦痛を与えて)いうことをきかせる」という思考パターンが習慣化されるためである。虐待をした親に直接いく場合もあれば、罪のない生まれてきた我が子に虐待が連鎖していくこともあるという。
親への復讐が、介護の場面で出ることも多いという。それが自分の親に出るならまだ自業自得とも言えるが、赤の他人に出ることもある。超高齢社会の日本にとって、誰しもに関わる大変な問題である。
そもそも、子どもにすべきは、虐待でなく躾である。身を美しく、つまり、良い人に育つようにするのが躾。親の都合のいいようにする虐待とは、全く別の行為である。
仮に、大人の都合で、理不尽に叩いたり罵声を浴びせたり無視したり放置したりすることを、継続的に行うことを虐待とする。
この行為の真逆を考える。撫でて、抱きしめて、褒めて、認めて、存在そのものを肯定し、目を見て話を聞いて、見守ることを続ける。
全部やるのは難しい。だからこそ、やれるものの一つとして「抱っこチャージ」が大切と考える。以前紹介した、プレジデントオンラインの方で大きく反響があった記事がそれである。
年末年始は、家庭で過ごす時間が多いと思う。特に家を空けがちな人は、親子間の絆を温めるチャンスである。
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