12月末に中国で可決され、この1月から即施行される「反テロ法」案。テロ攻撃という脅威を未然に防ぐ為の法案であるとされていますが、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、テロ防止は表向きの理由であって、本当の目的は中国政府の情報収集、つまりは他国へのハッキング行為や中国に否定的な意見をもつ個人や団体を常に監視する為のものであり、警戒すべきだと警鐘を鳴らしています。
【中国】反テロ法成立で日本人が狙われる
●反テロ法を可決…暗号化キー提供求める
中国の全国人民代表大会常務委員会は12月27日、テロ対策を強化する「反テロ法」案を可決させました。これによって、通信業者やIT企業は、データ解析に必要な暗号化キーを公安へ提供する必要が出てきます。
草案の段階では、暗号化キー提出が義務付けされるということで、海外から強い拒否反応が出ていました。今回はそうした義務付けの文言は削除されたということですが、すべて法よりも党の指導が上位である中国では、法律から文言が消えたからといって、「義務ではなくなった」ということを意味するわけではありません。党が義務だといえば、義務になります。ですから事実上の義務付けと見ていいでしょう。
ということは、インターネット上のほとんどの情報が中国政府に筒抜けとなるということであり、むしろ中国政府による他国へのサイバーテロを助長する可能性があります。中国軍がアメリカなどに対してサイバーテロを仕掛けているのは、すでに公然の事実です。
加えて中国は、法律の条文を公表しておらず、草案段階で「テロの偽情報や、模倣犯を誘発するようなテロ事件の詳細を報じてはならない」と規定していたため、さらなる言論統制と、少数民族への弾圧が進む可能性が懸念されています。
すでに中国の反テロ法に対して、アメリカはこれまでも何度もこの反テロ法を批判し、可決後も強い懸念を表明しましたが、中国側はその批判は「覇道で虚偽」だと反論しています。
●中国のテロ対策法に対する米国の非難は「覇道で虚偽」
しかし、12月25日には中国のウイグル政策を批判したフランス女性記者が国外退去処分となりました。彼女が書いた記事は、パリ同時テロ事件以来、中国政府がウイグル自治区で「テロ取り締まり」名目で少数民族への暴力や弾圧を正当化しているという、ごく「常識的」なものでしたが、中国政府はこの記事を理由に、彼女への記者証更新を拒否したのです。
中国政府の言い分は「中国人を傷つけた」という、いつもながら根拠に乏しいものですが、問題は、中国政府としてこのフランス人の中国政府批判はテロを助長するものであるという認識であり、反テロ法に照らせば、記者が本国や自国メディアに送ったメールを、中国政府が勝手に見ることができることになる、ということです。
●外交部 仏誌記者への記者証未発給についてコメント
もしそうなれば、記事内容はもちろん、取材相手の名前から所在地までが明らかになってしまう可能性があります。また、中国支局のある海外メディアのメールなども、すべて中国が検閲できることになってしまいます。
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