高齢化社会に突入した日本にとって、「介護離職」は国をあげて考えなくてはならない大きな問題です。もし、あなたが両親や家族などを介護しなければならない立場になったとき、どうしますか? メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、給付金などの制度があることをもっと周知させる必要があると指摘し、「介護者が安易に退職してしまうのは危険だ」と警告しています。
介護離職
最近、気になってる「介護離職」問題。ボスの知り合いの社労士&FPさんのブログを拝見した。「介護離職『しない、させない』ために知っておきたい4つのこと」がタイトルだ。
介護といえば、主婦等、家に居る人、女性がするものというイメージがあったが、近頃はどんどんくずれてきている。
最近、介護のために仕事を辞める人が増えている。政府も「介護離職ゼロ」を掲げて対策推進に乗り出している。しかしながら、旗を振っていてもどんな旗なのか見えないし、気づいてすらいない。そんな気がする。
「施設介護」と「在宅介護」。施設に入所したくても実現しなければ必然的に「在宅介護」になる。そうなると、気になる先は「老老介護」。「老老介護殺人」なんてニュースも時折聞く。いたたまれない事件だ。
「介護離職」も問題になっている。ドキュメント番組で取材されていたのは、元高収入サラリーマンで役職者。年収が1,000万円もあったのに自分以外に介護する者がいなくて、在職しながら介護を行うが、限界が見えてくる。在職在宅介護ができればいいのに、環境の整った会社はまだほとんどない。大会社はまだしも、中小企業ではそんな余裕などない。
民間の「有料老人ホーム」では施設数は増えているものの、入所可能な施設は費用負担が高額。費用負担の少ない公営の特別養護老人ホーム(特養)は空きがない。現在、52万人の入所待ちの状況(2013年度厚生労働省発表)となっているところだ。
施設介護も頼れないとなると、在宅介護が続くのだが、これ以上は、在職しながら在宅介護は難しいという場面が訪れる。厚労省調査によると介護離職者が2012年には1年間で約6.6万人いた。それが意に反する離職なのかそうでないのかは不明だ。在宅介護に限界が来たとき、どうするのか? 蓄えは少々はある、当分ならなんとかなると、退職したものの…。
在宅介護中の費用は、生活費は当然、それ以外の支出として介護サービス利用料、サービス以外の支出も必要だ。介護者が安易に退職してしまうのは「金銭的に危険な状況に陥る」ことになることに気づいていないことも多い。高齢家族を介護する場合、介護保険の他にも介護休業や雇用保険による「介護休業給付金」も利用できるが、これは退職してしまうと使えなくなる。
介護休業以外にも育児・介護休業法では「介護休暇」「勤務時間の短縮等の措置」「法定時間外労働の制限」「深夜業の制限」など労働者の権利として会社に申請できる制度がある。退職の前に、これらの制度をうまく活用して、「在職在宅介護」ができる方法を周知、模索していかなければ、悲劇の将来もあり得る。
俺が見たドキュメント番組では、大会社の部長クラスにまでいた方が介護のため退職をし、親が亡くなった後、再就職を考えるがこれがうまくいかない…。そんな番組だった。
その後、貯金は底を尽き、家を売り、賃貸住宅も家賃が払えなくなり追い出され、路上生活へと転落する。食事は、繁華街のごみ箱をあさり、日々、生きることで精いっぱい。
こんな日本をなんとかせねば…とボスは考えている。
介護を「自分のこと」としてとらえる、そして、社会全体としてこの問題を考える。
社労士として、何ができるのか? 介護休業や介護休暇を取り易くする職場、介護終了後に職場復帰しやすくなるような職場環境を整えることも我々社労士の仕事だ。
「介護離職しない、させない」仕組みをどうすればつくれるのか、政府任せにはできない大事なこと。いま、介護問題を抱えている人も、そうでない人も、一緒になって考えることが一番重要なことだと思う。
さて、この京都社労士事務所は、どう動くのか? 女性活躍促進にしろ、介護問題にしろ、社労士事務所というより、「社会活動」に突入?しそうなボスの勢いだ。…鼻息が荒い。
image by: Shutterstock